K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

1969

Stanley Cowell: Blues For The Viet Cong (1969) 器用さ爆発状態、ではあるのだけど

最近は1970年代のジャズに割と回帰する時間が長い。聴きはじめが1979年なので、その当時の感覚がいまだに中心にあるように思っている。その頃、Strata-eastは終焉していて、ロフトジャズで活躍した奏者がIndia Navigationから出し始めた頃。 カウエルはアー…

Charles Tolliver: The Ringer (1969) カット盤を聴きながらの雑感

Arista Freedomのcut盤にはお世話になった。1979年頃、レコード屋に800円くらいで未開封の輸入盤が並べられていた。マイケル・カスクーナ渾身(かどうか知らないが)のフリージャズの名盤再発シリーズ。あんまり売れなかったようで、ジャケットの隅をカット…

Barre Phillips: Journal Violone (1969) 楽器の音の良さ

最近までバーレ・フィリップスが欧州の人だと思っていたのだけど、米国の人なんだね。最初に聴いたのがECMのアルバムなので、なんとなく勝手にそう思っただけ。そうなのだけど、胴を鳴動させて大きな音を鳴らす、あの感じがそう思わせているようにも思う。 …

Birth of ICP: Treasures Box 1966~1969: 謎の宝箱

”Birth of ICP: Treasures Box 1966~1969”という謎のCD4枚組を購入。 ドルフィーのLast Dateはボクのなかで究極の1枚(勿論ジャズ部門で)、なのだけど、ある時期から、ドルフィーの背後のベニンク、メンゲルベルクの(秘めたる)変態性が強烈なスパイスに…

Louis Hayes, Junior Cook Quartet: Ichi-Ban (1976) ルイス・ヘイズ/ジュニア・クックの双頭バンドだった

これは蘭Timeless(好きなレーベルだ)からの、ウッディ・ショウを含むルイス・ヘイズ・グループのレコード。CDでは2000年以降、1976年と1977年のライヴが発売されているが、長らく、このグループのアルバムとしては、コレしかなかった訳だ。勿論、ショウ目当…

宮沢昭: Bull trout/いわな (1969) レコード盤を入手

CDが届いた後、出物があって「いわな」のレコード盤を入手。ディスクユニオンによる再発シリーズの音にかなり満足したので、迷いはあったが。 1980年の再発レコードのプロモ盤。だからオリジナルではない。まあ、このあたりのレコードは再発であっても、まあ…

宮沢昭: Four Units (1969) 四股が自由な頃の富樫雅彦をもっと聴きたい

四股が自由な頃の、ドラマー富樫雅彦をもっと聴きたい、と思っている。打音を空間的に組み立てる、その規模の大きさ、ビートを刻んだ瞬間の鋭さ、素晴らしいジャズ・ドラマーなのだ。 そんな気持ちで入手したレコード。本当は「いわな」のレコードが欲しいの…

Thelonious Monk: Les Liaisons Dangereuses 1960 (1959) 今年のRecord Store Day

今年のRecord Store Dayでの買い物。バンコク滞在中に、売り出し日であることを思い出し、慌てて(絶対レコード屋に出かける)S君・Nちゃんに購入を頼んだ。高価で重たいモノを有難う。 これは1960年のフランス映画「危険な関係」用にスタディオで吹き込まれ…

Oliver Nelson, 原信夫 Sharps & Flats: – 3-2-1-0 (1969) 1960年代の思い出(菊地雅章関連アルバムだけど)

ボクの子供時代、1960年代は高度経済成長の時期と云われるが、同時に戦後の外貨統制が次第に緩くなっていく時期でもある。1960年代後半には、ほぼ貿易の自由化は行われ、海外旅行の自由化も行われた。都市近郊の農地が宅地化するとともに、富裕農家が出現し…

富樫雅彦、高木元輝:アイソレーション(1969) 「残念」だったのは

何とかレコードを入手した。富樫雅彦の四股が自在なときのアルバムを、しかるべき音圧で聴きたかった、のだ。 実は後年の演奏との違いはあまり感じなかった。勿論、バスドラムが鳴ったり、自由な四股から発せられる音は後年と同じじゃない。しかし、これを聴…

富樫雅彦: We Now Create: Music For Strings, Winds And Percussions (1969) 肢体を限界まで動かしているときの音

先日届いたLPレコードを早速聴く。 以前からアップル・ミュージックで聴いていたのだけど、やはりレコードで聴きたい、要求が強かった。ようやく、1980年の再発盤ではあるが、入手することができた。 やはりレコードで聴くと、特に富樫のドラムが明瞭で、嬉…

高柳昌行とニュー・ディレクションズ: Independence (1969) 音と沈黙が造る音響的な美

このアルバムは、高柳昌行, 吉沢元治, 豊住芳三郎のトリオ(佐藤敏夫の時間指揮って何だろう?)。魅力的な奏者達が空間を丁寧に構築してくような音が連なる。一音一音考えられ、打ち込まれたような音の連鎖。だから、音と音の間には思惟のような沈黙を感じ…

Egberto Gismonti (1969) 音の振幅

音の振幅が大きい、というか、ボッサ風からジャズ風、MPB風と広がっているが、ジスモンチの音そのもの。冒頭の曲が、40以上前からジスモンチはジスモンチであって、そんなに変わっていないことを知る。 今春のナナ・ジスモンチのコンサートは、ナナの逝去で…

Victor Modern Jazz Sextet: Matrix (1969) 彼のラストアルバム(発売予定)との不思議な一致

菊地雅章の「幻の初リーダ作」と銘打ち、昨年、LPレコードで再発されたアルバム。だけど、これ初リーダ作かなあ。 ライナーノートをみると沢田駿吾(ギター)がプロデューサ的な役割で、菊地秀行(as),滝谷裕典(b),鈴木孝広(ds)が沢田駿吾のバンドのメンバー。…

渡辺貞夫: Songbook (1969) 70年代の熱気に向けて

随分前に名古屋・大須の中古レコード屋で格安で購入して、放置していたもの。菊地さんが入っているなあ、と聴いてみた。 B面のお仕舞い方のパストラル以外は2分前後未満の短いトラックが多数。テレビ番組で使った音、だそうだ。聴いていて、短さや曲調(多く…

佐藤允彦:Palladium (1969) 30年後に聴くと

随分長い間聴いていなかったこのレコードを久々に聴いてみた。 最近は「モダンジャズの名盤」を聴く日々で、ジャズが最も輝いていた時代(と云って差し支えないと思う)の音の勢いが凄い。さらに当時のプレスで聴くと距離感が縮まる感じがあって、脳天の先ま…

Miroslav Vitous:Infinite Search

ジャズを聴きはじめてから長く愛聽していた「違う種類のグルーヴ」の典型的な一作はコレ。ボクの根っこに染みついたジャズとか、グルーヴって音にするとこ んな感じ。黒い感じでは勿論なくて、そう地に立つグルーヴではなくて、頭頂から天蓋に音が抜けていく…

Miles Davis : 1969 Miles Festiva De Juan Pin

マイルスが亡くなった1991年から数年後に、このCDは発売された。生前には発売されていない。Boot legで、この時期のツアーを聴いていなかったので、このCDで初めて聴いて驚いた。まったく従来のジャズの語法とは異なる、コリアのフェンダーに激しいデジョネ…

Jim Hall: It's nice to be with you(1969)ボクにとって素敵なジャズとは

そんなときには感性を大きく振り回したり、遠くに連れて行くのではなくて、時間が少しでもゆっくりと流れるような音がいい。そんなボクにとって素敵なジャ ズとは,と考えると,真っ先にこのLPを思い浮かべる。ジム・ホールがドイツのMPSに吹き込んだ一枚。…

(ECM1002) Just Music: Just Music (1969) 苦手感が強いアルバム

Peter Stock(b), Franz Volhard(Cello), Thomas Stowsand(Cello, Flute), Johannes Kramer(g),Thomas Cremer(Perc, Clarinet),Alfred Harth(ts, cl, b-cl, tp), Dieter Herrmann(tb) Recorded on December 13, 1969

(ECM1001) Mal Waldron: Free At Last (1969) 音の美しさと作り上げられた「奇妙な音世界」の微妙なアンバランスが愉しい

Mal Waldron(p), Isla Eckinger(b), Clarence Becton(ds)