1976
近年のエヴァンスの発掘盤の多さ、それもブート的なものでなく、には驚く。それをレコードで入手する意味はいささか疑問なのだけど、ある種の惰性だから仕方がない。ただECMの新譜をレコードで聴く、あの気持ちよさを思い起こすと、全く無意味でもない、とも…
現代ジャズと称する、近年のスムーズなピアノ・トリオとは全く逆の指向の音。とにかく「スムーズ」ではない。音が過去に後ずさりしていくようなタイム感があって、見通しの悪さ、も甚だしい。その「奇妙な味」が強烈な個性を、割と静かに訴える。聴いている…
1980年頃のテイチクの再発シリーズの一枚。このとき、富樫のspeed and spaceと山下洋輔のconcert in new jazzを購入した記憶がある。これは先日、帯の惹句「コルトレーン・ナンバー」で引っかかって、購入。1000円もしないが、大正解。1970年代ジャズの愉し…
(ECM1085) Keith Jarrett: The Survivors' Suite (1976)A. The Survivors' Suite (Beginning) (Keith Jarrett) 27:34B. The Survivors' Suite (Conclusion) (Keith Jarrett) 21:32Keith Jarrett(p, ss, recoder, celesta, perc), Dewey Redman(ts, perc), Ch…
時間とともに変容する奏者、そうでない奏者がいる。エバーハルト・ヴェーバーは決定的に後者で、どう聴いても彼の音楽である、という印象は決してエフェクタを通したエレクトリック・アコウスティック・ベースの音色、だけによるものではない。 むしろ作曲行…
趣味の悪い漫画風ジャケット。これって当時の青年漫画誌もこんなのなかったかなあ、とか思ったのだけど。ジャケット買いならぬ、ジャケットで買わない選択もあったが、まあジム・ホールなので。 このアルバムは当時流行った「ダイレクトカッティング」。演奏…
一年を通して、ほとんどテレビを見ないが、これは見た。随分前、荒井由実のデビューアルバムのドキュメンタリーが意外なほど面白かったから。西条孝之助が入ったボッサのトラック、とか。マルチ・トラックを腑分けすると、思わぬ音が飛び出る様、が楽しい。 …
最近、強く思うことは、ジャズがジャズであるその大切な要因は、「奇妙な・違和感のある味」を感じさせることではないだろうか。決して即興とか、グルーヴでも、スウィングではない。フリー・ジャズも口当たり良く、スムースになったハード・バップへのアン…
アンデルセンの前作のときもそうなのだけど、聴いたときの印象を書くことができなくて、このシリーズ(ECMのレコードを聴く)が滞っている。今回も同じ。一月以上、なんか書く気が起こらなかった。 なぜだろう。確かに美しい音楽なのだけど、それ以上のもので…
当時のロフト・ジャズのメンバーやリチャード・デイヴィスと吹き込んだレコード。最近まで知らなかった。CDも出ていたようだ。 今になって聴くとロフト・ジャズも主流派的なジャズそのもので、いまのジャズの中にすっかり溶け込んでいるように思える。これも…
阿部薫に関する記述やyoutubeにあったTV番組なんかをみると、阿部薫という題材を通じて時代を語る、あるいは自分を語るような側面が気になる。案外、音楽の話ではないのだ。1970年前後を頂点とした破壊へのヴェクターが急激に退潮した流れ、と、1976年に自死…
1976年の名古屋Lovelyでのライヴ。メンバー、内容共に、このアルバムの存在を知ったときからドキドキし、聴きたくなった。 このような「発掘盤」のアルバムは多々あれど、多くはカセットレコーダによる私的な録音の発売であるため、演奏の良さと録音とのギャ…
一昨日に引き続き、ECMを聴こうと思ったが、どうもArild Andersonのアルバムがピンとこなくて、最近入手したレコードを聴くことに。富樫雅彦の1976年のアルバム。 ボクは1970年代末に街のレコード屋で富樫のアルバム、コロンビア盤とかキング盤を入手した。…
ジョン・アバークロンビーとラルフ・タウナーのデュオSargasso Sea。印画紙のようなつるっとしたジャケットの感触が懐かしい70年代のECMのアルバム。北欧のスタジオで繰り広げられた透明度の高い、そしてひんやりとした大気のなかでの対話が濃密に広がる。
ジャック・デジョネットのソロ、の性格を持ったアルバム。自身のピアノやオルガンとの多重録音もあるし 、クロンビーが加わったトラックもあるが、デジョネットのドラムを中心に据えて、その魅力、ビートの鋭さ、打音の美しさ、を伝えている。 欧州の奏者は…
なぜかディスクユニオンのJazzTokyoにあったレコード。高瀬アキと並んでいたので笑ってしまった。笑ったけど、ラッキーだった。最近はクラシック売り場へ行かないので、この手の現代曲のレコードは入手し難い。高橋アキの現代曲は美しい、という点において、…
前作「The pilgrim and the stars」の1年後の吹き込み。またメンバーも同じ。続編、と云って良い。 だから、アルバムの印象も実に似通っている。続編。ラヴァの魅力は、管の響きが与える陰翳、だと思う。前作は、その暗い響きがクロンビー達が奏でる1970年…
折り重なる音の色彩は、北欧から英国にかけての冬の空、のよう。重く広がる雲、希に切れ目から見える暗い蒼。 そんな土地で生まれた音楽なんだろうな、と思う。バーレ・フィリップスは長い間、欧州の奏者だと思っていたのだけど、カルフォルニア生まれ。キャ…
このジャック・デジョネットのECMでの、彼のグループとしての初アルバムは、そんなデジョネットの特性が詰まった玉手箱のようなアルバム。インド音楽風からフリー風まで様々なスタイル、リズムを取り上げている。それらが無理なく、デジョネットの多面性とし…
昨日、India Navigationをみつけて喜んでいた訳だけど、今朝はDouglasのWildflowersシリーズの完全盤をみつけて、驚いた。ロフトジャズの記録も、あった。 ロフト・ジャズって、1970年代後半、ジャズのライヴスポットが減少する中、苦しい局面を迎えたFree J…
先日、ギル・エヴァンスのBOOT音源や山下洋輔のポーランドでのライヴを紹介したりしているうちに、このアルバムを思い出した。 アーサー・ブライスや、ジョージ・アダムスが入っているので、入手したかったのだけど、1980年当時、それなりに時間がかかった記…
エヴァンスのMPSセッションと同じくResonance Recordsの発掘盤。エヴァンスと違って、ジルベルトとゲッツの音源は極く限られているから、音質云々以前に、まず再発そのものが嬉しい。また、録音自体は籠もり気味なのだけど(カセットテープか?)、そんなこ…
エヴァンスのMPSセッションと同じくResonance Recordsの発掘盤。エヴァンスと違って、ジルベルトとゲッツの音源は極く限られているから、音質云々以前に、まず再発そのものが嬉しい。また、録音自体は籠もり気味なのだけど(カセットテープか?)、そんなこ…
昨日届いたLPレコード。当時、デンオン(デノンじゃない)と呼ばれたレーベルのアルバムは音が綺麗 胡志明という人物、がいた。1969年に逝去している。胡という名前から、西域に起源をもつ漢人かとも思えるがそうでない。越南人である。カタカナで書くと、ホ…
昨夜、ポルトガルからの26時間の長旅+近所のバー店主快気祝い(?)で帰宅は遅め。 その後は、山のような洗濯と買ってきたレコードとの戯れ。 今回の目玉はこれ。勿論、CDで聴いているのだけど、レコードで欲しかった。 で、我が家に招聘したのだ。早速、レコー…
昨年のRecord Store Dayで発売されたResonance recordからの10 inchのミニアルバム。世界で何枚だったかなあ、の限定プレス。音源が音源なので迷わず手が出た。片面10分に満たない、アルバム。(購入にあたっては、アキヒロ君を煩わせました。感謝。) 1976…
ジャコが撲殺された、という極く短い報道を新聞でみた晩、は今でも覚えている。たまたま友人とレコードを聴いていた。何ともいえない寂寥感だった。1986年のこと。Word of mouthの続作を待っていたが、永遠の徒労だった、ことに気がついたような感覚だった。…
ヴィトウスがまっとているコトバに宇宙がある。cosmic とかspacyなオト。確かにWeather Reportの最初の一枚はそのような深遠さを感じさせる一枚。その中心人物がヴィトウス、なのだろう。1976年のこのアルバムも何となくそんな雰囲気のジャケットが昔から気…
そんな借り物のような身体感覚のなかで、なんとなく聴いているのはパット・マルティーノのWe'll be together again。70年代中盤のフュージョン(クロシオーヴァーと云われてたけど)隆盛の頃に、そっと奏でられたギル・ゴールドスタイン(案外好きな奏者)の…
あめふり前の温い夜半前に帰ってきて、何を聴こうかと少しだけ悩んで鳴らしてみたのは矢野顕子のデビュー・コンサートのライヴ盤。まだLP全盛期だから僅か34分の収録。そうなのだけど、音の密度がとても濃くて、今と変わらぬ矢野顕子の音が飛び出す。もう3…