K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Music (南米)

Marcos Valle: Escape (2001) フェンダー・ローズのグルーヴ感

マルコス・ヴァーリの2001年のアルバム。CDでも出されているアルバムを2枚組のレコードで出したもの。UKプレス。レコードに添付された店のPOPが良くて購入。聴いてみるとすこぶる良い。音も良いし、内容も勿論。 ジャンル的にはMPBなのだけど、かなりフュー…

Naná Vasconcelos: Africadeus (1973) フランス制作のレコードの中に行儀良く

先般、入手したSaravahのアルバム。1973年の録音なので、こちらのほうが先に出ている。1975年のセカンド・プレスでジャケットが異なる。RCAから出されているSaravah盤。音質は先日のアルバム同様、満足がいくものだ。 奏者はナナ・ヴァスコンセロスのソロ。…

Naná Vasconcelos, Nelson Angelo, Novelli (1975) サハラ以南のアフリカの匂い

ボクの世代のジャズ・ファンの多くが(多分)そうであるように、パット・メセニー・グループ(PMG)での存在感で、ナナ・ヴァスコンセロスを知った。1980年代の中頃から1990年頃じゃないだろうか。ウェイン・ショーターのを通じ、ミルトン・ナシメントを知った…

SaravahのNana Vasconcelosが届いた

最近、Saravah本を読んだが、面白い。あの手の本がイケないのは、欲しいレコードが増えること。SaravahのヴァスコンセロスはCDで持っていたのだけど、レコードが欲しくなった。やれやれ。 仕事なんかしないで、雨の日はレコードを聴いて、本を読んでいたいの…

Vinicius Canta Antonio Carlos Jobim (2015) レコードで聴く音の温度

昨日届いたレコード。随分前に発売されたのは知っていた。躊躇しているうちに売れてしまったのだけど、最近、安価に見つけた。 やはりレコードの柔らかな音は、この奏者によく合う、ことを確認できた。レコードで聴く音の温度、のようなものが人肌に近い、と…

Vinicius Cantuaria: Samba Carioca (2010) これからの季節の音、夏ではなくて

ヴィニシウス・カントゥアリアを久々に聴いている。アート・リンゼイを聴いていて、少し痛いなと感じたので、何となく移動。少し柔らかくなって、ぴったり。creditを見ると、プロデュースがリンゼイで笑ってしまったが。 タイトルはSambaであるが、適当にボ…

André Mehmari, Juan Quintero, Carlos Aguirre : Serpentina (2017) フォルクローレとMPBの交差

昨日のコンサートの物販で入手。 コンサートではメマーリとキンテイロの二人であったが、ここにアギューレが加わる。事前にこのアルバムを知ったとき、期待が半分と恐れ(のようなもの)が半分。 3人の特性が比較的よく似ていて、予定調和のなかで、想定内…

Andre Mehmari - Juan Quintero, Klo Pelgag (Sukiyaki meets in the world) 彼らの唄、北陸の風土

K君に誘われて、メマーリとキンテイロのライヴに出かけた。富山の旧福野町(今の南砺市)にあるヘリオス。 ブラジルのメマーリと、アルゼンチンのキンテイロという意外な組み合わせ。ありそうで、有り得ない気もする。コトバが違う。ただ、音楽的なベースが…

André Mehmari, Antonio Loureiro: MehmariLoureiro duo (2016) 1+1が幾つに

買ってから随分経つが、未だに少々、気持ちの中に落ち込まないアルバム。勿論、内容的に申し分なく、彼らの良質な部分、ボクたちが聴きたいと思う音、で満たされている。素晴らしい。が、腑に落ちない、のだ。 メーマリもロウレイロも好きで、随分と聴いてい…

Nana Vasconcelos: Lester (1985) イタリアの奏者とブラジルの奏者の相性

ブラジルのヴァスコンセロスとイタリアのサリス(知らない奏者)のデュオ。 期待は淡い狂気、のようなものが醸し出す空間の歪み。 見事に、そんな空気を作っている。昔のイタリア映画の翳り、のような味が美味しい。はっと気がついたのは、イタリアの奏者と…

Arto Lindsay: Mundo Civilizado (1996) なんて年だ

明け方から降り出した。低くアート・リンゼイを流している。 ブラジルの音が内包する狂気のようなもので軽くラッピングした音が、内向的な快感をヒットさせていく。 日本にやってくるのだけど、全く仕事で都合がつかない。金沢に来るオルークも聴けない。な…

Eliane Faria, André Mehmari, Gordinho do Surdo: Três no Samba(2017) 食傷気味、を払拭した

メーマリというと、少し、ではなく、かなり食傷気味。やや甘めのピアノも、束になって聴くと、甘味が辛くなる。そんな訳で、少し気持ちの中で距離を感じている。 ボクはサンバ、の今、を知らないのだけど、昔買ったサンバのアルバムが、あまり面白くなかった…

Coletivo Samba Noir: Samba Noir(2015) リンゼイとかジスモンチ

台北の朝、仕事をしながら聴いている。リンゼイとかジスモンチがゲスト、というアルバム。乾いた感じ、と、南米音楽固有の肌触り、が気持ち良い。カッコいいなあ。

Arto Lindsay: O Corpo Sutil: The Subtle Body (1996) 虚無的な距離感

これはもう麻薬的南米音楽の変種。ナナ・ヴァスコンセロス(参加!)やエグベルト・ジスモンチが奏でる世界、密林の奥から流れでる漆黒の音が微量だけど投入されている。 ボッサ・ノヴァは奏者と聴き手の音の近さ、と、曲が与える距離感の印象に大きな乖離が…

Fabiano Araújo, Arild Andersen, Naná Vasconcelos: Rheomusi (2011) 今朝の音楽

あれから1年か。 ------------------------------------------------------------------------- Fabiano Araújo, Arild Andersen, Naná Vasconcelos: Rheomusi (2011, Ágata Tecnologia Digital)1. Yã 2:522. Hyperborean 7:223. P 6:244. Anacã 7:495. Neg…

Caetano Veloso: Estrangeiro (1989) 微毒という猛毒

微毒という猛毒、だと思う。ブラジル音楽の優しげな表情に騙され、惹き込まれると、そこかしこに仕掛けられた罠に嵌められる。微毒だからと安心して、その「少しばかり」のささくれた感触を楽しんでいると、刈り取られてしまう。困った、ものだ。 このアルバ…

Maria Bethania (1965) カエターノ・ヴェローゾの妹、だそうで

昨日の買い物。1000円ちょっと。それがマリア・ベターニアの初リーダ作のオリジナル・モノラル盤。オルトフォンSPU-monoを下ろすと、押しの強い声が飛び出してくる。 頭は、かなり不自然はリヴァーブ(機械的な音響処理だね)なのだけど、あとはそうでもない…

MPB音源

最近、MPB好きから教えてもらった音源。apple musicは凄いなあと改めて思う。珈琲焙煎のK君がECM好きと知って驚いたが(ネット以外のリアルで知って、ということ)、MPB好きをリアルに知るのは椿事ではなかろうか? i) Jorge Ben ii) Joan Bosco ii) novos b…

Ricardo Herz & Antonio Loureiro (2014) なにものでもない、されど、なにものかである音楽

アントニオ・ロウレイロはミナスの多楽器奏者・歌い手。東京でのライヴアルバムですっかり掴まれてしまった。 このアルバムはロウレイロがヴィビラホンを弾く、ヴァイオリンとのデュオ。彼の素晴らしい唄、がないと気がついてがっかりしたのは一瞬。なにもの…

Tavinho Moura: beira da linha - instrumental de viola (2016) 大洋レコードからの便り

このアルバムは、全くケレン味のないギターのソロ。カイピーラ・ギター、というブラジルの楽器らしい。詳しくは大洋レコードのサイトで。とても詳しく紹介されている。

Egberto Gismonti (1969) 音の振幅

音の振幅が大きい、というか、ボッサ風からジャズ風、MPB風と広がっているが、ジスモンチの音そのもの。冒頭の曲が、40以上前からジスモンチはジスモンチであって、そんなに変わっていないことを知る。 今春のナナ・ジスモンチのコンサートは、ナナの逝去で…

Fabio Caramura: eco musica - conversas de um piano com a fauna brasileira (2015) 先週1週間

先週1週間、これをクルマのなかで聴き続けた。異国の鳥のさえずり、と絡み合うピアノの音に惹かれた。季節、に合ったのだと思う。 [2016-3-23記事] 今日の昼下がり 今日の昼下がりの音楽。昨日に続いて南米音楽でほっこり。 ファビオ・カラムラというクラシ…

Diego Schissi: Tongos (2010) 過剰で奇妙な味

これはアルゼンチンのタンゴあるいはジャズ奏者のシネシのアルバム。アギューレのような。自然を感じさせる、たおやかな音と対極のように感じる。タンゴの過剰さ、を持ちながら、奇妙な味、ジスモンチやパアスコアールが隠し味のように仕込まれている。

Antonio Loureiro: Antonio Loureiro (2006) 淡い夏の夜風に吹かれて

今夜はロウレイロを聴いている。これはデビュー盤か。2006年の吹き込み。だけど後年のアルバムと全く空気は変わらない。この軸の安定さ、は音楽的に完成された奏者、固有のものだ。 今夜のような爽やかな月夜、に相応しい。ほのかに暖かく、熱くはない、アル…

Caetano Veloso & Gilberto Gil: Two Friends, one century of music (2015) 冷戦期の南米

昨日、近所のS君夫婦が久しぶりにやってきて、Napaで買ったのスパークリングを呑みながら、DVDをみた。 それは素晴らしいDVDで、カエターノ・ヴェローソとジルベルト・ジルのデュオ。ギターを手にした二人のステージ。70代になった二人、とは思えないくらい…

João Gilberto, Stan Getz: Getz/Gilberto '76

エヴァンスのMPSセッションと同じくResonance Recordsの発掘盤。エヴァンスと違って、ジルベルトとゲッツの音源は極く限られているから、音質云々以前に、まず再発そのものが嬉しい。また、録音自体は籠もり気味なのだけど(カセットテープか?)、そんなこ…

Joao Gilberto, Stan Getz: Getz/Gilberto '76 (1976) レコードで聴く愉しみ

エヴァンスのMPSセッションと同じくResonance Recordsの発掘盤。エヴァンスと違って、ジルベルトとゲッツの音源は極く限られているから、音質云々以前に、まず再発そのものが嬉しい。また、録音自体は籠もり気味なのだけど(カセットテープか?)、そんなこ…

Egberto Gismonti : Coracoes Futuristas(1976) Aveiroで買ったレコード

昨夜、ポルトガルからの26時間の長旅+近所のバー店主快気祝い(?)で帰宅は遅め。 その後は、山のような洗濯と買ってきたレコードとの戯れ。 今回の目玉はこれ。勿論、CDで聴いているのだけど、レコードで欲しかった。 で、我が家に招聘したのだ。早速、レコー…

Andre Mehmari: As Estacoes Na Cantareira (2015) 光のような音の空間

多作家、だなあと思う。気がつくと、もう新しいアルバムが出ている。少し甘さ、が強めなことが気になるのだけど、やはり聴いてしまう。 MPB、ジャズ、現代音楽のような「細かなジャンル」を包摂してしまうよう力、が魅力。 光のような音の空間、が音響装置の…

Edu Lobo: Meia-noite (1995) 今日の仕事場

ここ最近は、比較的Free jazzとかimprovised musicと呼ばれる世界で咲く、密やかに美しい音を探すような日々。音と感情の基層が生起する反応、のようなものを愉しんでみた。その生成物は、音のつくり手が造ったものでもあり、幾ばくは自分に内在する「何か」…