K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

最近の届きもの(Pharoah Sanders)

ボクのサンダース事はじめはリアルタイムのJourney to the one。これで引っ張られ、Liveて決定的に。それから、ゆっくり聴いている。

上左はArista版でJourney to the oneのちょっと前。似たアルバム。

上右はlatin jazz quintetとの共演。1973年発売のアルバムだけど、録音は1960年代はじめ、彼の初期録音のようだ。

下2枚は最近のプレス。CD時代のアルバムのLP化(意味ないなあ)

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石橋英子, Gianni Gebbia, Daniele Camarda: Maboroshi (2009) 脱境界的な

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石橋英子, Gianni Gebbia, Daniele Camarda: Maboroshi (2009, F.M.N. Sound Factory)
1. Kuuge (Flowers On The Sky)
2. One Clapping/Many Hands
3. Go Down Moses
4. Hermit
5. Kan (Barrier)
6. Kami Kakushi (Gold Wind Mountain)
7. Maboroshi (Illusion)
8. Yodaka No Hoshi (Night Bird Star)
9. Ichi Go Ichi E (One Occasion One Opportunity)
10. Rinnne (Reincarnation)
石橋英子(vo, p, synth, choirs, perc), Gianni Gebbia(as, objects), Daniele Camarda(el-b, loops)
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今でこそ、このような脱境界的な音楽を幾つも聴くことができるのだけど、2009年もそうだったのかな。気が付かなかった、だけなのかな。アンビエント、アヴァンギャルドなジャズなどなど、おもちゃ箱のなかの音が粒立っている。

音響的にもとても良く、聞き惚れてしまう。

 

MABOROSHI

MABOROSHI

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今朝の一枚 (Herbie Mann: Windows opened)

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先週の大友良英の番組(フルート特集)で紹介されたアルバム。1968年。マンって.いいなと思えるアルバムがなかったのだけど、ラジオでかかった表題曲は良かった。シュタイグは幾つか引っかかるのだけどねえ。

ソニー・シャーロック入りの録音なので、やはり大友番組だなあとニヤリ。ソニー・シャーロック入りりのマンのアルバムが気になって買ってみたけど、ピンと来るのはなかったよなあ、と思いだす。買おうかな、と思って、念の為にレコード棚を覗いたら既に保有。焦るなあ。ピンとこなかったアルバムがコレ。確かにシャーロック狙いだと不満かも。マンのフルートは存外に良い。ボクの初記憶は、スーパーマンの格好をしたジャケットの、クロスオーヴァーの人なんだけど、割と硬質の演奏。

ショーターのFootprintsではじまるB面良し。ロイ・エアーズもいいな。WR以前のヴィトウスもメンバー。ザヴィヌルがキャノンボール・アダレイのバンドにいた頃。ヴィトウスはその後、マンの世話でアトランティックの傍系レーベルから、限りない探求、を出すんだよな、確か。

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石橋英子, Darin Gray: Ichida (2018) ベースの音の感触

石橋英子, Darin Gray: Ichida(2018, Black Truffle)
A. Ichida Part 1
B. Ichida Part 2
石橋英子(p, org, fl, electronics), Darin Gray(b, Performer [Mouthpieces, Preparations], electronics)
Mastered by Rashad Becker
Mixed by Jim O'Rourke
Recorded by Masahide Ando
Mastered & cut at D&M, Berlin, Feb 2018.

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久しぶりに聴いたら、とても気持ち良い。ベースの音が、漂う・移ろう音の雲の中に、なにかを「定位」させるような、そんな感触を感じる。

ホロベックのTrio IIIでの感触、でもある。

 

[2020-08-20]キモチの体感温度が下がる感触

こういった音楽が何なのか、ボクにはわからない。「わかる」必要も感じない、のだけど。心象的な怪談、のような感覚があって、何かヒンヤリとした感触、それでいて粘度がが低い、キモチの体感温度が下がる感触を愉しんでいる。

 

ICHIDA [Analog]

ICHIDA [Analog]

 

 

Hampton Hawes: I'm All Smiles (1966) 引き続き1960年代半ばのホウズ

Hampton Hawes: I'm All Smiles (1966, Contemporary Records)
A1. I’m All Smiles (Herbert Martin) 7:25
A2. Manha De Carnaval (Luiz Bonfá) 5:25
A3. Spring Is Here (Rodgers & Hart) 5:04
B1. The Shadow Of Your Smile (Johnny Mandel) 9:55
B2. Searchin’ (Hampton Hawes) 10:22
Hampton Hawes(p),  Red Mitchell(b), Donald Bailey(ds)
Engineer: Reice Hamel
Producer:( Lester Koenig
Recorded at Mitchell's Studio Club, Los Angeles in 1966.

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1960年代半ばのホウズが良いので、もう1枚。

これは翌年のライヴ盤で、ベースがイスラエルからレッド・ミッチェルに交代。ミッチェルの大柄なベースの音がかなり楽しめるアルバム。ホウズの印象は変わらず。これも良いアルバム。ジャケットのセンスの悪さで(多分)不人気盤だろうが、買い。

1966年に収録したがお蔵入り。1973年になってリリース。あまり人気がなかったのだろう。

これは米盤。ほぼ当時のプレスじゃないかな。最近まで1970年代のレコーには「オリジナル盤」なんて呼称はなかったが、最近は蚕食してきて怖いなあ。1970年代盤なので、ご多分に漏れず、Contemporary のジャケットも薄手のボール紙、レコードも薄くなっている。しかし音は前掲の日キング盤よりもクリアでkireが良い。やはり、日本盤はねえ、のようだ。

I'm All Smiles

I'm All Smiles

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Hampton Hawes: Here And Now (1965) この時期のホウズ、日本盤の音

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Hampton Hawes: Here And Now (1965, Contemporary Records)
A1. Fly Me To The Moon (Bart Howard) 6:57
A2. What Kind Of Fool Am I? (Anthony Newley, Leslie Bricusse) 4:38
A3. The Girl From Ipanema (Antonio Carlos Jobim, Norman Gimbel, Vinicius DeMoraes*) 4:04
A4. Rhonda (Hampton Hawes) 3:35
B1. Dear Heart (Henry Mancini, Jay Livingston, Ray Evans) 5:25
B2. People (Bob Merrill, Jule Styne) 5:02
B3. Chim Chim Cher-ee (Richard Sherman*, Robert Sherman*) 4:22
B4. Days Of Wine And Roses (Henry Mancini, Johnny Mercer) 4:41
Hampton Hawes(p), Chuck Israels(b), Donald Bailey(ds)
Producer: Lester Koenig
Recorded May 12, 1965
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ジャズのガイドブックを読むと(40年以上前だけど)、まずはコンテンポラリーの初期のトリオや、ジム・ホールとのセッションを勧められる。きっと今でも変わらないだろう。

そのあたりのアルバムを聴くと、とにかく運指が速いピアノ奏者、の印象。だったらパウェル聴くよね、とも思う。繰り返し聴く奏者にはならなかった。

一方、晩年のヘイデンとのアルバムでの、しみじみとしたアルバムではタッチの美しい、別人のような演奏に驚かされる。

このアルバムは初期と変わらぬContemporaryからのアルバムだけど、1960年代半ば。twitterでこのアルバムを呟いた方がおられて、少し気になっていた。DUでキング盤を500円で入手した次第。この頃になると、録音はロイ・デュナンでもないし、話題にもならない時期のホウズ。安レコードなのだ。

しかし良いアルバム。1960年代のホウズはエヴァンス登場のインパクトを受けたようで、一本調子のバッパーではなく、タッチの美しいリリカルな曲をも扱う奏者に変貌していた。かなり聴かせるし、かつても面影もあり、楽しい。この時期のホウズはもっと聴かれるべき奏者ではなかろうか。

キング盤だけど、日本盤固有の柔らかさが気にはなるが、まあ許す、かなあ。同時期のホウズの米Contemporaryからの別盤を聴くと、もっと音が立っていてクリア。米Contemporary盤を推奨。OJCのContemporaryは聴いたことがないので、わかりませんが。

追記:1970年代のローズの演奏も存外に美味しい:

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Here & Now

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Okkyung Lee:  Yeo​-​Neun (2020) だから覗き見る

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Okkyung Lee:  Yeo​-​Neun (2020, Shelter Press)
A1. Here We Are (Once Again)(Okkyung Lee) 6:09
A2. The Yellow Porcelain Bird(Okkyung Lee) 3:36
A3. Another Old Story (옛날이야기)(Okkyung Lee) 3:11
A4. In Stardust (For Kang Kyung-ok)(Okkyung Lee) 4:13
A5. Eternally (미련없이)(Okkyung Lee) 2:05
B1. Uiro (Up And Up And Up)(Okkyung Lee) 4:00
B2. The Longest Morning(Okkyung Lee) 4:44
B3. One Bright Lazy Sunday Afternoon (You Whispered That Name)(Okkyung Lee) 5:10
B4. Facing Your Shadows(Okkyung Lee) 3:58
B5. Then, There (그때 그자리)(Okkyung Lee) 2:30
Okkyung Lee(Cello), Jacob Sacks(p), Eivind Opsvik(b), Maeve Gilchrist(harp)
Recording, Mixing: Jeff Cook
Mastering, Lacquer Cut: Rashad Becker
Producer: Okkyung Lee
Photography By [Photographs By] – Ron Jude
Recorded and mixed ... at 2nd Story Sound Studio / Linden Underground
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なるべく眺めないようにしている京都のMeditationのサイトで引っ掛かった一枚。うまいよなあ、紹介文:

Okkyung Lee - Yeo-Neun (LP) – Meditations

ニューヨークで聴いたジェイコブ・サックスも良かった、のもあるしね。

レコードを買うって、針を下ろした瞬間に異なる世界に連れて行かれる感覚、音溝のトレース音あるいはノイズから、なんか門を開いたような感覚にヤられたい、と云うことだと思う。あの視野狭窄のようなルディ・ヴァン・ゲルダーのイコライズの魅力(というより魔力だな)もそこにある。

このレコード、針を下ろした瞬間から、そのような引き(あるいは惹き)が強い。瞬間で魅了された。ストリーミングで聴くと、ハープの甘さ(砂糖菓子だな)が気になるのだけど。期待したほど、リーのアヴァンな音は楽しめず、むしろジャズと現代音楽のグレーな境界よりは、現代音楽寄りかな。それでも、音空間、それもフォノ・イコライザーを通した音にグッと掴まれる感触を愉しむ感じ、が嬉しい。

そのなかでも、リーの掻き乱すノイズのような弦の軋みに胸が高まるのはなんだろう。

まあ何とも音を聴く愉しみ、を想い出させる、素晴らしい一枚、だった。

だから覗き見る、のだよな、Meditationのサイト。やれやれ。

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music.amazon.co.jp


www.youtube.com

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お茶の水へ(カンパニー社の新刊本、類家CD、ジェフ・パーカーのレコード他)

思い起こすと、お茶の水にレコード買いに来るようになって、40年を随分と超えてしまった。

脳内は記憶容量、書き込み速度は随分劣化したが、脳内回路はちっとも進化していない。くそっ。
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マイルスの自伝はいつか買おうと思っていたので。そしてカンパニー社の本フェチなんで無条件に、なんだけど、まさかの齋藤徹。
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類家CD。
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レコードも少々。福居、栗林はいつか、って思ってたので。ホガードのmuse盤はジュリ・アレンとの共演で手を。ホウズ、コンテンポラリーのキング盤。500円也の安レコ。
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ジェフ・パーカーのトリオ。早く聴きたい。
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届いたCD(近藤等則)ほか

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お盆明けから、狂うような仕事の波に呑まれた。今は上司が居ないストレスレスな状況なのだけど、圧が強い仕事が増えており、津波のように襲ってくる、こともある。それが、ある種の脳内アドレナリンの発露となっているのも事実で、音に対する関心を押し潰しつつある。

限られた脳内リソースの分配論のもと、せめぎ合っている。という、自覚がありながら、買い物ジャンキー的な感情的な衝動は治まっていない。嫌になるなあ。

ということで、緩蒐集の近藤音源。キース・ヘリング展の音源はいいかな。ソロの煮詰まり感はちょっとキツい。

Sun Ra: Space is the place (1974)断片化した一つ一つが1970年頃の濃厚な空気を

昨年公開されて気になっていた映画:

Amazonで配信(100円)していたので観た。

完全にイってしまった感じの映画なんだけど、断片化した一つ一つが1970年頃の濃厚な空気を伝えていて(音も画も)、そこが面白い。アーケストラの演奏があまり多くないのが残念。

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今宵のレコード(David Torn, Three sounds)

このお休みはDavid Tornをよく聴いた。今のECMから考えられないメンバー。ECMが扱うジャズ周縁にはロック方面もあり豊かだった。こんな感じのECMが好きだったんだよ。

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ECMばかり聴いていると、RVGの燻んだピアノを聴きたくなり、これを。NYCレーベルだが人気が全くないthree soundsなので安価だった。ジャケットは、アルフレッド・ライオンの細君で有名。ライオンと離婚後ヴィレッジヴァンガードのマックス・ゴードンと再婚したロレイン・ゴードン(彼女が亡くなった2018年6月の晩に、ヴィレッジ・ヴァンガードで訃報を聞いた)だと思っていたが、ルースという別の女性。今日気がついた。
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レコードの背を写す

ちょっと気になったtweet:

ボクも背表紙を眺めるのが好きだ。ちょっとアップ:

上半分はBill Evans, Miles Davis, Thelonious Monk, Eric Dolphy, 

下半分は日本のジャズ。

これで全体の1/5。やれやれ。

画像

上の棚から加古隆、菊地雅章、山下洋輔、佐藤允彦を中心とする日本のジャズ・ピアニスト:

ECM棚からアップ。上と同じ大きさの棚で6コマ分。やれやれ。

 

 

近藤等則: イズラエル(1993-94) IMAを解散した直後の「CD本」

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近藤等則: Israel(イズラエル)(1993-94, CALLING CO.,LTD)
  1. Desert melody Part (近藤等則) 13:24
  2. Cosmic vib. (宇宙波動) (近藤等則) 6:22
  3. Surrender for cry  泣かずにはいられない)  (近藤等則) 4 :38
  4. Desert melody Part 2 (近藤等則) 3:43
  5. Space temple (近藤等則) 5:41
  6. Nature-techno trance (近藤等則) 4:58
  7. 郷愁 -Nostalgy- (近藤等則) 2:30
  8. Desert melody Part 3 (近藤等則) 2:35
  9. Desert melody Part (近藤等則) 4:45
10. A love of Jerusalem  いとしのエルサレム) (近藤等則)  5:32
11. A spirit by The Dead Sea (近藤等則) 3:31
12. Soul is landing (近藤等則) 2:11
13. Theme of Nazareth (近藤等則) 1:49
近藤等則(tp, electronics)
M-1, 4, 7, 8, 9, performed at the Negev Desert,
M-11 performed at the Eingedi,
M-12 performed at jazz club, Jerusalem,
M-13 performed by the Sea of Galilee, December 1993.
M-2, 3, 5, 6, 10 recorded in Amsterdam, Jury 1994.
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近藤等則が、彼らしく、唐突にこの世から消えて随分経った。Toshinori Kondoがcreditされた新譜がbandcampで湧くように出てくるのを眺めていると、そんな実感が全くないのだけど。そんなことで、緩く彼の音源を蒐めている。1979年のボクに対し、山下洋輔がジャズの枠を壊してくれたように、近藤等則は音楽の枠を壊してくれた、その記憶がそうさせているのだけど。

(もっとも以下のサイトをみると、蒐めきることは難しいことが明白なのだけど。)

このアルバムはIMAを解散した直後の「CD本」。NHKでの「世界わが心の旅」での「イズラエル」(イスラエル、とは書いていない)訪問の顛末が本に、そして「地球を吹く」の最初期の収録となるイスラエルでのソロ演奏とアムステルダムでの収録が音源として収められている。アマゾンでの価格では全く手を出す気が起きなかったが、今回、手頃な価格で入手した。

地球を吹く、は映像作品としては面白いが、音として聴くとマンネリのなかにあったようにも思えている。本作品は、そんなマンネリ感を与えない強度を持っていて、かなり聴かせる。リズムを入れたトラックの方が好みかな。

本の方はIMA解散後の心境を知ることができる、という点では面白い。他の本と同様、彼の肥大した自己意識の独白の域は出ないが、人との出会いでは案外素朴な心象が吐露されていて、少し読ませる。

IMA以降、幾つもの面白いセッションがあり、彼への関心を失っていない。ソロでは内向的な狭い円環のなかでの音に終始したように思え、あまり関心を持っていない。それを打破するような最晩年の活発化ではあったが、それもまた過去の一瞬の出来事になってしまった。