K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

金沢・香林坊「YORK」:雨脚が乱れる金沢でジャズを聴く(はずだった)梅雨の候


香林坊の日銀裏にある「YORK」 :すごくいい感じの店なんだけどなあ
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(2009年7月2日 記)

金沢は,関東・関西と比べて桜の候が10日ほど遅い.時期があえば,関東や関西で桜を見終えてから,桜の犀川とか遠くの雪の山とかをみることができ,何かとても得をしたような気持ちになれる.今年の春もねらったが,寒冷前線通過で花が散った後.とても損をしたような気持ちになった.
 
紫陽花も同じようで,鎌倉では色褪せていたが,ここではまだまだ旬のような色合い.兼六園の方角から香林坊へくだる通りを歩いていて,そのように感じた.


夜は知人数人で長町「菊よし」へ.鮎の塩焼きが旬.富山の庄川の産.何とも云えぬうま味があり,大阪あたりで解禁の頃に食べる放流モノとは随分違い,驚いた.庄川沿いのまち砺波には,銀嶺立山の蔵元があり,手取川に劣らずよい水なんだろうと思う. 水と云えば,「菊よし」の前は,大野庄用水.暗い街中に,満々の水路の早い流れがあるのは,何とも不思議.酔って落ちると,ちょっと危ないような気がする.用水は犀川から流れ落ち,音を立て街を駆け抜け,郊外に広がる稲田に流れ込むとのこと.

その後,小降りのなか夜の散歩.野町から香林坊まで大通りを背骨に,ジグザグに小路を探索.裏通りを進むと,ちいさな坂の向こうには,気持ちのいい店が幾つか連なる景色がひろがる,ような感じで歩く.看板も小さく,通りの暗さに映える店 が多い.柿木畠や日銀裏にジャズの店あり.赤いサインが薄暗い通りにみえた「York」にはいる.いい感じのjazz喫茶ならぬjazzバー.店が通りよ り少し沈み,カウンタから路地のあしもとが見える.次第に雨脚が乱れ,ときどき音響を妨げるくらい.Horace ParlanのBlue noteのLPの音,ベースの変わった感じの始まりに掴まれた.最近はあまり聴いていないのだが,やっぱり60年代のBNはそれなりにいい.でも世でいう ほどBlue noteのRudy Van Gelder録音は好きでもなく,Contemporary のRoy DuNann録音のほうが好きだったが.

Horace Parlan "Happy Frame Of Mind (Blue Note, 1963)
Johnny Coles (tp), Booker Ervin (ts), Grant Green (g), Horace Parlan (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds)

久々に,いい感じのJazzバーで楽しめる「はずだった」.となりに座った年金話ばっかりのおっちゃんあかんかった.うるさいのはいいのだが,絡み方が何かちょっと失礼だね.とい訳で,2杯呑んで,また今度.

最後は知人と落ち合い,ジャズでなくって,ただのshot bar.ひたすらIrish Whiskeyを呑む.前から疑問だったGlenmorangie の18年がなくなったわけ,なんかを聞くと教えてくれるスタンスの,煩くない,気安い,安い店.Bar SPICE COMPANY(片町アパホテル中央の横のビル6F). 知人との話のなかで,犀川の暗くはやい流れを見ながら呑むのがよかった Begin the begin(Jazz的名前だが,ただのbar)は閉店と.残念.気がつくと1時もだいぶん越えていた.

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(2010年8月18日 追記)
金沢引っ越す2ヶ月前に呑みにきたときの話.引っ越してきてからYorkにはまだ行っていない.なんでだろうか.一番好きなタイプの店,昔ながらのジャズ喫茶の香りがしっかり残った店なのだけどね.