K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

John Klemmer: Nexus

John Klemmer: Nexus (1979, Arista Novus)
(DISC 1)
A1. Misty
A2. Body and Soul
A3. Mr.PC
B1. God Bless the Child
B2. My One and Only Love
John Klemmer(ts), Bob Magnusson(b), Carl Burnett(ds)
(DISC 2)
C1. Softly As in a Morning Sunrise
C2. Impressions
D1. Four
D2. Nexus
John Klemmer(ts), Carl Burnett(ds)
Recorded at Los Angels

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ボクがJazzを聴き始めた頃は,お決まりのようにSwing Journal誌を買って,レコードガイドとしてLPを買い揃えていった.だから教科書的に載っていそうなLPもソコソコ集まったけど,好みはやっぱり時代を共有しているようなモノに集まった.わくわくしながら針をおろし針があがったときに悦びに溢れるような経験をしたモノ.初冬の山に登るとき,雪の上についた他人のトレースを避けて,自分のトレースをつけていくような感じが好きなのだと思う.体力が少し必要だけど.

このNexusはSwing Journal誌の広告でジャケットに釘付けになって,買うことにした.といっても輸入盤で手に入れるまで随分時間がかかったけど.とにかく直球で暗い気持ちが伝わってきたので,ヒキコモリ体質のボクがCaptureされたのだ.

(余談だけど,このLPを買ってから20年位過ぎた初夏,BaltimoreからNew YorkのMadison Square Guarden駅にAmtrak(列車)で移動したときのこと,最後の地下の区間に列車がもぐる前,夕暮れのNew Yorkの郊外に荒涼とした廃工場群が広がるのをみて,このLPジャケットがフラッシュバックしたことを思い出した).そんな経緯でJohn Lemmerが当時人気のCrossover路線(Fusionってもう少し後のコトバだったと思う)の奏者であることは後で知った.知ったけど,これ以外は1枚として聴いていない.その後はFusionのアルバムも見ないが,どうしているのかな.Wikiによると最近も活動しているみたいだけど.

LPの1枚目はトリオ演奏,2枚目はドラムとのデュオ.Art Pepperとの録音歴のある共演者たち.一言でいうとKlemmerの存在感が強く,共演者はカケラも聴こえてこない.デュオもトリオも関係ない.それくらいKlemmerの集中力,トーンの力強さ,途切れない発想の畳込み,が強烈である.

ボクのなかでは,Sony Rollins(ts)のVillage Vanguard(Blue Note)の音世界をpost- Coltraneの時代である70年代にあわせて再現させたような印象.選曲がこのLPの性格をきっちり与えている.所謂スタンダードの曲も,曲の魅力に依存することなく,素材として吹き切っている力は素晴らしい.この2枚組LPで自己完結的にきっちり満足したから,Klemmerはこれで全てなのだ,と思っている.

 ちなみに,カルフォルニアのアナハイムのホテルでワインを呑みながらこれを書いているが,Nexusもカルフォルニアの録音.この青空のもとでこのジャケット,この録音を考えた Klemmerはどんな人かな,とフト不思議に思う.

マイナーなLPレコードなのだけど,しっかりBLOGなどでアップされている今の時代は幸せだなあ,と思うこの頃である.