K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Art Pepper: So in Love

Art Pepper: So in Love (Artist House)
(i)Art Pepper (as, cl), George Cables (p), Charlie Haden (b), Billy Higgins (ds)
(ii)Art Pepper (as,cl), Hank Jones (p), Ron Carter (b), Al Foster(ds) 
Side A- 1. Straight, No Chaser(ii), 2. Blues for Blanche(i), 3. So in Love(i)
Side B- 1. Diane(ii), 2.Stardust(i)
録音:(ii)1979年2月23日,(i)1979年5月25,26日 
同じときの録音がNew York Album  (Galaxy)でリリースされている

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ボクは何となくアルトサックスは苦手であまり沢山は持っていない.影が足りないと云うか,何と云うか.単なる好みの話なんだけど.決して嫌いじゃないのだけど.Eric DolphyとArt Pepperだけは別格で随分聴いているように思う.やはり表現の幅や味がアルト吹きとしては深いからじゃないかな.勿論,Lee Konitzなんかもそうなんだけど,手が回っていません.これから.

数多いArt Pepperのアルバムのなかで,ボク的にベストはSo in Love のB面.ゆったりとした曲なのだけど,Pepperの魅力が凝縮されているように思うのだ.ボクがいそいそスイングジャーナル誌を買ってジャズを聴き始めた31年前,Art Pepperが麻薬禍から復帰して3年目くらい.爆発的なアルバムリリースを続けていた.そのなかで,50年代の頃とその頃の比較論が花盛りだった.今にして思うと「余計なお世話論争」にしか見えないのだけど.要は復帰後に色気や艶が消えてしまった,ような話.確かに,多くのアルバムでは,そのように思えなくもないが,それはそれでしっかり70年代を生きていることが分かるのだ,現役として.このso in loveのB面を聴くと50年代の頃の色香を踏み台に70年代の表現を纏っている様子がよく分かるのだ.

2つのリズムセクションとの演奏がごちゃまぜになっていて,それぞれベース・ドラムにクセがあるが,Pepperのアルトが圧倒的で全然気にならない.たまに耳に入るGeorge CablesやHank Jonesのピアノが素晴らしい伴奏で甲乙つけ難し.このアルバムはボクが持っているArtist Houseのなかで一番じゃないかなあ,と思っているのであります.だけど,全くArtist Houseのアルバム,って感じがしないことも事実なだよなあ. 


Art Pepper So In Love