K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

別山(2399m)から白山(2702m)へ:長く長く歩きたかった日帰り縦走はボクの夏の総集編


別山からの稜線から2000mの鞍部に降りる最中、雲が割れ、流れはじめ、沸く雲のなか鼎立する白山があらわれはじめた。

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真っ暗のなか目が覚めた。ほどなく朝3時にセットした目覚ましが鳴った。前夜に準備した朝食を食べて、4時前にはクルマを南に向けて走らせた。先週と同じく、南の空には木星が煌めいていた。山に登る朝が、とても心地良く昂奮しはじまった。山に登るだけでなく、独りでクルマを走らせる時間も楽しい。先日買ったCDを大きく鳴らしながら、南へ走る。丁度60kmで大きな山の登山口。金沢に住まう歓びの一つ。ほんとうに嬉しい。

一ノ瀬からの別山(2399m)が標高差1500m、別当出合からの白山(2702m)が標高差1400m、中間の2000m鞍部をはさみ繋ぐと2600mの標高差の登山となる。いつか登ってみたいと思っている剱岳・早月尾根や甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根などの長大な尾根と遜色のない標高差がとれる、と分かってから早く登りたくてソワソワする日々を過ごしてい た。予報では午後から急速に天候が悪化する。だから、今回の山行(別山から白山・御前峰への縦走)では速さが必要。その気持ちがまた軽い昂奮を呼び、一ノ瀬に着く頃には随分気持ちが高ぶっていたような気がする。とにかく長く長く歩きたかったのだ。これはボクの夏の総集編なのだ。

夜明け前に一ノ瀬を出て、まだ暗いチブリ尾根のブナ林のなかを歩く。今まで、ブナ林のなかは賑やかしい雰囲気を強く感じたのだが、今回はとても静か。何故だろうか。だから、立ち止まったり振り向いたりすることもなくピッチを上げて登る。チブリ尾根は、避難小屋の手前から樹林帯を抜け、高度感溢れる尾根歩きが楽しいのだけど、今回は空を雲が覆い始め、何とはない暗い気分が溢れ出した。天候の悪化を告げるようでもあり、気持ちに焦りが出てきた。それにしても静かな登高であり、追い抜いた登山者2名、下りの登山者3名のみだった。


一ノ瀬で夜明け前の空を見上げる。          チブリ尾根上部の笹原は露に濡れていた。

チブリ尾根の避難小屋のあたりから雲が
別山の山頂まで行くと、雲が流れだした。
覆いだした。少し暗い気分になった。


別山に着く頃から、雲が風で流れはじめ、存外に明るい尾根歩きを楽しめた。 別山から南龍ヶ馬場までの稜線には光が充ち溢れ、とても眩しい。稜線から下をみると9月というのに、谷筋に残雪が残っていた。昨冬の雪の多さが分かる。 


別山から南龍ヶ馬場までの稜線から下をみ       別山から南龍ヶ馬場までの稜線には光が充ち溢れ、
ると9月というのに、まだ残雪が残ってい       とても眩しい。
た。昨冬の雪の多さが分かる。

別山からの稜線から2000mの鞍部に降りる最中、雲が割れ、流れはじめ、沸く雲のなか鼎立する白山があらわれはじめた。とても神神しい姿に手を合わせた。このときから、ボクが黒ボコ岩からの下降にはいるまでの何時間か、とても綺麗な秋の空が広がり、透き通った光のなかの白山を感じることができた。チブリ尾根のブナが静かで残念だったのだけど、白山の存在を今まで以上に強く強く感じることができた。八百万の神々のおわす場所と大地との接点にボクは立っていた。

川が流れる2000mの鞍部まで降り、南龍ヶ馬場を通り、白山頂上を目指す。空は明るく、小気味良く高度を稼いでいく感覚がとても楽しい。どんどん南龍ヶ馬場の小屋が小さくなる。上部の草原に出ると、秋の風が吹き、やはり誰もいない路を白山山頂を望みながら歩く。トンビ岩コースは黒ボコ岩からのコースと比べて、のびやかな白山の姿を楽しむことができて楽しい。


別山からの稜線から2000mの鞍部に降りる        トンビ岩コース上部の草原はとても気持ち良い。
最中、雲が割れ、流れはじめ、眼前に白山。       白山・御前峰がぽっかりと浮かぶ。
が現れはじめた


一ノ瀬から白山・御前峰まで6時間50分。お昼すぎに着いた。長く長く歩きたかったのだけど、まだ早い幕引きのように感じ、少し寂しい気持ちになった。この頃から、再び雲がやってきた。 

下りは砂防新道に。ボクはこの路があまり好きでないので、小走りで下った。室堂下の長い木道の先を歩いていると、つぎつぎと雲が沸き・溢れる空の中に飛び込んでいくような不思議な感覚になった。どこまでも続けばいいなあ、と。


白山・御前峰に着いた頃から、再び雲が         長い木道の先には、つぎつぎと沸く雲が溢れていた。
やってきた。


山頂から別当出合まで2時間で駆けて、今回の山行はお仕舞い。山頂までの長い時間と、下降のあっけなさ。とてもバランスが悪い。だから、つぎは一ノ瀬入山・下山で別山・白山に登りたくなった。今回の下降ルート・砂防新道を観光新道+白山禅定道に換えたルート。ますます登山欲が昂進するなあ。

下山後は白峰総湯で汗を流し、下半身をアイシング(だから翌日には痛みなし)。その後は宝達で花火をみて、近所のバーで夜半過ぎまで呑んでも、昂奮はなかなか解けないのでした。厄介だなあ。

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登山記録

 5:25 一ノ瀬
 7:45 チブリ尾根避難小屋
 9:15 別山
10:35 南龍ヶ馬場
11:45 室堂
12:15 白山
12:50 白山出発
13:50 甚の助避難小屋
14:50 別当出合