K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

20世紀の音:ボクの好きな音って?


Horowitz Encores: Vladimir Horowitz

Composer: Camille Saint-Saens, Wolfgang Amadeus Mozart, Felix, Mendelssohn, Claude Debussy,
Moritz Moszkowski, Frederic Chopin, Robert Schumann, Franz Liszt, Sergey Rachmaninov

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数日前の続きの話。

最近書いているようにボクは少し狂った感じでクラシックのLPレコード・CDを集めている。気持ちの良い、新しい音にめぐり合うことが出来るから。ジャズ専科30年の隙に入り込んだ感じ。ジャズと同じく、ピアノ音楽に魅了され入口をくぐった。

実は数年前にもガイドブックを参考に何枚か求めたが不発。自分の好みは分からないものだ。今回はちょっと複雑なプロセスを経て、耳に穴が開いた感覚がある。必ずしも入口まで真っ直ぐ歩いた訳でなく、

i)先入観(お行儀のよい秩序・調和の音楽)の破壊段階
ホロヴィッツのアンコールに芸能としての音楽、狂気に近い破壊衝動を感じた。

ii)快感指数の高い音の注入段階
ラヴェルドビュッシーなど20世紀はじめの音をミケランジェリホロヴィッツ、アルヘリッチの
美音で。あわせて東欧・ロシアのエクゾティシズムの強い音に惹かれた。

iii)好奇心に基づく自分の好みの探索の段階、

の順を追っている。各段階の契機となった音が明確にあって、その音との縁が金沢で生じた僥倖、という幸甚。とても感謝しております。

今まで聴いていたジャズとあわせて、どのような音に惹かれているのだろうか。

ボクが生きている時代の音、20世紀の音楽にある種のノスタルジアを感じ、その快感に浸りたくて聴いている、ように感じてきた。たとえ同時代の音であって も、その音に累積された時間の厚みに何らかノスタルジアを感じるのだろう。Keith Jarrettのソロに強く惹かれたのは、そんな感じ。今、クラシックで惹かれている音もそう。20世紀の音、今まで生きている中で直接あるいは間接的に 注がれてきた音、深い記憶のなかに芥のように漂っている音。意識・無意識の底に探針を当てるような微かな痛みの快感。

20世紀の音を聴きたいと、はっきりと意識を整理できたのは、21世紀美術館金澤攝(かなざわをさむ)さんの演奏を聴いてから。

  • セザール・キュィ:4つの作品(1901)
  • ジャン・フランチェスコ・マリピエロ:秋の前奏曲(1914)、はるかな歌(1919)
  • オットマール・ゲルシュター:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ(1950/51)、シルエット(1968)

自分の時代に近づくほど、時代の空気の気持よさが強まる感じ。
このあたりの感覚は、ボクと同じジャズ狂いの方々もかなり共有できるのでは、と思っている。

ということで、

の二軸で静かに猟盤しているのだ。