K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

André Previn: The Great Pianist of the 20th Century- vol.80

André Previn: The Great Pianist of the 20th Century- vol.80 - André Previn
CD1:
1. Mozart: Piano Concerto No. 17 in G major, K. 453
2. Poulenc: Trois pièces, for piano
3. Poulenc: Mélancolie, for piano, FP 105
4.Poulenc: Suite française (d'après Claude Gervaise), for piano (arr. from chamber version), FP 80
5. Poulenc: Presto for piano in B flat major, FP 70
6. Shostakovich: Piano Concerto No. 1, for piano, trumpet & strings, in C minor, Op. 35:

CD2:
1.Gershwin: Concerto in F, for piano & orchestra
2. David FinkとのGershwin曲集デュオ(ジャズ)
3.Gershwin: Rhapsody in Blue

このThe Freat Pianist of the 20th Centuryシリーズは素晴らしいオムニバス。このCDではShostakovichのピアノ協奏曲がとても楽しめた。2枚目のGershwin集は素晴らしい「さもありなん」で、一級のジャズ弾きでもあるPrevinの魅力が詰まっている。本当のジャズも入っていてDavid FinkとのGershwin曲集デュオは良かった。DGから出ているとは知らなかった。同じシリーズのエリントン曲集をクリックしてしまった...あれま

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さて本題

この一週間のBLOGはイタリアジャズの音で一杯だったのだけど、引き続き、大量(と言ってもいいと思う)に買ったクラシックのLP/CDも聴き進めていた。まだ全部は聴けていない。嬉しい大変。

ジャズと比べ、クラシックでは音のフレームワークが「曲」で与えられ、音に対し作曲者が占める割合が高い。唄モノは別として、ジャズにおける曲は契機みたいなもので、演奏者の裁量比率がとても高い。このあたりが、ボクも含めジャズファンがクラシックに感じる違和感だろうな、と思う。どれを聴いても同じ、に聴こえる。ボクがクラシックを聴く入り口に立てたのは、演奏者の個性が極端に聴こえるモノを聴き、その秘めたる心性の暗部のようなものを垣間見て、クラシックに対する先入観が壊れたからだと思っている。そしてジャズを含めた20世紀の音を聴く、という想いでクラシック音源の猟盤を進めることにした。そのなかで気に入った作曲者は、幾つかの違った演奏者の音源を手に入れて楽しんでいる。演奏者の個性を感じたいから。

先入観が壊れ、うまく選盤すると、演奏者の個性が少しは楽しめるようになってきた。ジャズを聴きはじめた頃の楽しさと同じように、わくわくしながら音を聴くことができて、とても嬉しい。また、とてもいい加減な選盤だけど、ボクのまわりの「20世紀の音」が厚みを増してきた。BartokやScriabinなど中欧・東欧の作曲者の他、PoulencやMilhaudのRavel後の仏作曲者の曲もとても楽しい。PoulencはPascal Rogéの演奏で、MilhaudはWilliam Bolcomの演奏を聴いた。どちらも気持ちによく合い、とても楽しめた。となると、違う演奏者によるPolencとMilhaudを聴きたくなった。ボクが惹かれた演奏は、演奏者の魅力なのか、作曲者の魅力なのか、超初心者には分からないから。

という事で聴き比べたのは、
Poulenc:Pascal RogéとAndré Previn
Milhaud:William BolcomとAlexandre Tharaud
である。もっといろいろな音に出会いたい。

Poulencの場合は、Pascal RogéもAndré Previnも甲乙つけがたい感じ。だけどRogéの音の間合い、揺れる音の隙間から漂う色艶がとても気持ちよい。LPレコードの音の良さも気持ち良さに荷担。Previnの演奏も華があって、とても魅力的なのだけど、Rogéより少しキチンとした感じの演奏でやや堅い感じ。Previnは優れたジャズ演奏家なので、魅力的な揺れや音の隙間は得意技なのだけどね。クラシックはきちんとしていた。
Milhaudの場合は、Bolcomのほうが気持ち良い演奏だった。Bolcomの演奏は力が抜けた小粋な感じで気持ちよい。街角で聴いているような気楽さが魅力。Tharaudの演奏は華やかできらびやかなのだけど、音の時代感覚が巧く伝わってこない感じ。

フト思った。PrevinのMilhaudだったら、もっと気持ちがいいのだろうな、ということ。本当のジャズ演奏家であるPrevinが弾く「ブラジルの思い出」のラテンな感じって、魅力的だと思うのだけど。
それにTharaudの華美な音でのPoulencも聴いてみたいな(Rogéより洒脱な感じにはならないだろうけど)。




Alexandre Tharaud: Milhaud piano music (Naxos)

1. Saudades Do Brazil
2.La Muse Menagere (A M.M.M.M.)
3. L'album De Madame Bovary
1995年