この数日は素敵な具合の荒れ模様だった金澤。獅子起こしもあれば、雨降るなかにも月が照らしたりする。雨模様の東山の上を照らす月は明るい。
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横浜に一週間近く出かけたあと、堰を切ったような金澤来訪者、殆どが旧知の先輩や友人。金澤の案内に追われた。嬉しい悲鳴。あと、もう二組あるのだけど、少し一服。
遠くからお越し頂く方々を案内する先なのだけど、最近は東山が多い。薄暗い表通りに仄かな火が灯る風情はなにものにも代え難い雰囲気があり、とりわけ冬、雨や雪で濡れる通りに灯火が流れるさまは美しい。お客には何よりもそれが美味しいので、店の手前でクルマを降りて、少し歩いてから店にお連れすることにしている。雨や雪模様でも。大概は太平洋側の方々なので、雨雪も馳走。カルファオルニアから来た方々なんかは悪天候を本当に楽しんでおられた。
この1週間は毎日呑んでいたのだけど、東山は4日ほど出かけた。典型的な北陸の冬。この数日は素敵な具合の荒れ模様だった。獅子起こしもあれば、雨降るなかにも月が照らしたりする。
日が一番短い時節なので5時頃にはすっかり暗くなっている。傘をさしてお客を案内して茶屋街を歩いていたら妙に明るい。見上げれば明るい月が照らしている。客を放り出して、暫し見とれてしまった。なんだかとても懐かしい気持ちになった。
雨や雪交じりなのだけど、雲の流れがとても速い。だから時折,雨に当たりながら満ちつつある月が雲間に浮かんだりする。呑み始めの時間はまだまだ高いところにあるのだけど。雨模様の東山の上を照らす月は明るい。
こんな通りを歩くだけで友人たちの気持ちが昂ぶる様子がよくわかる。それが楽しいから東山に連れて行くのだ。ボクは新しい店を貪欲に探すほうではなくて、テキトウに居心地の良い店をみつけたら何回も出かけるタチ。今回お世話になった店は3店。記憶をたどったら、どの店も2回づつ使っていた。
食事は観音坂の通りに看板が出ている「れのん」。内装はスナック風なのだけど、料理が美味しいので気楽に出かけている。
二次会には茶屋街の端っこの「照葉」。古い置屋の建屋にカウンタをしつらえたワインバー。元芸妓の女将の所作がきれいで、お客によろこんで貰える。
今回初めて行ったのは「輝」。浅野川大橋から川沿いに下流側へ少し歩く。
最近遊んでくれる年若き友人J君から随分誘われていた。それで思いだして出かけた。綺麗な内装の店で、カウンタの正面に大きな屏風。接客の具合がとても良くて、お客にも随分よろこんでもらえた。(J君、先に行ってスミマセン。早々に一緒に行こう)
ここまで書いて、評判を聞いた「一葉」に行っていないことに気がついた。それにまだ行っていない店がまだまだ。誰か金澤初心者のボクに教えてください。とか書きながら、実に久々の何もない土曜日をのんびりと音楽を聴いて過ごしているのだ。