K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Anatoly Vedernikov: Stravinsky, Shostakovich,Karetnikov そんなときは突然やってくる


アナトリー・ヴェデルニコフ:20世紀ロシアの作品(1968、DENON)
1. ピアノ・ソナタ第2番(ストラヴィンスキー)
http://www.youtube.com/watch?v=E5KJBhO1DO0
http://www.youtube.com/watch?v=Ox7JHl-4ze8
http://www.youtube.com/watch?v=GSklGOBV38M
2. ピアノ・ソナタ第1番op.12(ショスタコーヴィチ
http://www.youtube.com/watch?v=lOAbOSH9q0w&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=OKUhQcuKgS0
3. ピアノ・ソナタ第2番op.61(ショスタコーヴィチ)
http://www.youtube.com/watch?v=OKUhQcuKgS0
4. レント~ヴァリエーション(カレトニコフ)
http://www.youtube.com/watch?v=8EGD8HZijbg

そんなときは突然やってくる、場所や時間を問わず。何かに突き刺されたように、頭に注ぎ込まれる音。何回も何回も聴いても飽き足らない。聴きたい、もっと聴きたい。殺伐としたアリゾナのホテルの部屋でスピーカを鳴らしていたら、突然惹き込まれてしまった。

まず曲がとても好み。どの曲も現代の曲らしく甘い旋律からはなれ、毅然とした音の流列から美しさを主張している。ストラヴィンスキーの曲が時折みせる哀感に心をくすぐられたり、ショスタコーヴィチの曲の破壊力に酔ったり。ともすれば無機的な音の配列になってしまいそうな曲を仄かに暖かく聴かせるような演奏。とても乾燥していて、また気持ちも小さく荒れているその刻に、気持ちに飛び込んできたのだ。こんな感触があるから、音を求め歩くことが止められない。

アナトリー・ヴェデルニコフ(1920-1993)は旧ソ連時代のピアニスト。満洲生まれで、両親とソ連に帰国後にスターリン粛正にあたって父親が銃殺、母親が強制収容所送り、の悲運。本人も政治的によろしくなくて,殆ど国外での演奏が許されなかったため知名度が低いとのこと。ギレリスやリヒテルと同様、ゲンリヒ・ネイガウスの弟子とのこと。ああ、だからゲンリヒ・ネイガウスの現代ロシアの曲が気持ちに入ってきたように、ヴェデルニコフの演奏も気持ちに入ってきたのかもしれない。