K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

David Gilmore: Unified Presence (2006) とってもスリリングなギターを聴く雪の晩


David Gilmore: Unified Presence (2006, Kindred Rhythm)
   1. Vertical Path
   2. Protean Way
   3. Douala
   4. Snake Theory
   5. Goga Jam
   6. Law Of Balance
   7. Window of the soul
   8. Hankiskas
   9. Unified Presence
  10. 11th Hour Blues
  11. Beijo Partido (Broken Kiss)
David Gilmore(g), Christian McBride(b), Jeff“Tain”Watts(ds)
Ravi Coltrane(ts,ss), Claudia Acuna(Vo) on 11

まあエエカゲンにせなアカン、とこの頃考える位、クラシックのアルバム買いに集中した。もう一日中聴き続けるときもあって、なかなか他のコトが手につかない。そんな熱狂も定常的な生活のなかに収斂していけばいいなあと思っている。ジャズを聴く時間も徐々に復活している。なんとなく嗜好が変わった感覚がついてまわっているのだけど。

かつて、ジャズを聴きはじめた30年前、にはジャズ・ギターはなんとなく好みにあわなくて沢山は持っていなかった。ピアノの饒舌・流麗な演奏とか、テナー・サックスの飽くなきブロウとか、敷き詰めたようなオトが好みだったのだろう。ギターやベース、弦を弾く楽器は饒舌・流麗といっても、オトの密度はぐっと荒くなる。その音の隙間、のようなもの、が好みになってきた最近。だからギターとかベースのアルバムは急増中。多くはECM系の奏者なのだけど、それだけでもない。

いつ聴いてもいいなあ、と思うのはDavid GilmoreのUnified Presence (2006)。コテコテのジャズ・ファンのボクは知らなかったのだけど、世間でDavid Gilmoreってピンク・フロイドだそうで。こっちのDavid Gilmoreは別人で黒人ギタリスト。楽歴はあまり知らないのだけど、Steve ColemanのM-base一派のギタリスト。ボク自身はM-baseに興味がなかったので知らなかったけど。あとWayne Shorterの1980年代のアルバムにちょこっと。

wikiをみても記事は僅少、要はマイナな存在であるようなのだけど、このアルバムは素晴らしい。ジャズなんだよなあ、まさに今の時代の、という感じかな。ギタートリオとRaviがはいったカルテットが半々くらい。最後のトニーニョ・オルタの曲にはヴォーカル入り。圧倒的にギタートリオがジャズらしいドライヴ感、ギアを入れ込む緊張感に溢れたもの。沸点ぎりぎりのトコロで次次に繰り出されるフレーズには息がつまる程。Pat Martinoを聴く快感に近いが、よりジャズを聴く愉悦に溢れている感じ。Christian McBrideとJeff“Tain”Wattsがバックだからね。もう強烈。

Raviがはいった曲もなかなか。ボクはママ同伴で来日したRaviを聴いて、あまり面白くなかったコトがあって、とても関心がなかったのだけど、このアルバムでは邪魔になっていない。見直す程でもないけど。

なんとなく疲れた晩には、やっぱりジャズや南米系音楽で気持ちを切り換えるべきではないかと思う雪の金澤でありました。こんな夜にクラシックを聴き込むとキツいかもしれないからね。