K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Fred Hersch: Live at the Village Vanguard (2003) 旅のような流れる時間の残照のように

Fred Hersch: Live at the Village Vanguard (Palmetto, 2003)
   1. Bemsha Swing
   2. At the Close of the Day
   3. Phantom of the Bopera
   4. Endless Stars
   5. Swamp Thang
   6. Stuttering
   7. Some Other Time
   8. Days Gone By
   9. Miyako/Black Nile
  10. I'll Be Seeing You
Fred Hersch(p), Drew Gress(b), Nasheet Waits(ds)

3月はいって久しいのだけど、何だか流れるように時間が過ぎ去っていく。正面がら見据えたように時間を受け止めているのではなくて、頬に受ける風速のようなものから、背後に吸い込まれいく速さ、のようなものを感じている。列車の車窓から、遠くを眺めているときに、ふと思った。旅のような流れる時間のなかにあって、残照のように仄かに温もりを感じさせるようなもの、がなんだか欲しくなってきた。3月にはいって、ほとんどの時間を列車だとか、飛行場の待合室だとかで過ごしてきたから。少々呑んだくらいで、冷えきった面持ちが暖かくなる訳ではない。

そんな巡業のような仕事のなかでした時間には、LPレコードだとかCDだとかを見ているのだけど、このアルバムは横浜・関内のディスク・ユニオンで購入したもの。最近、Herschが気になって仕方がないのだ。とてもとてもlate commerなのだけど。どちらかというとソロ・ピアノのアルバムから入っているので、ピアノ・トリオがもう少し欲しいと思っていた。マンハッタンのヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ。反射神経のように食指が動いた。

そんなCDを携帯プレイヤにいれて、流れる景色をみながら聴いたのは今日。よく晴れた蒼空のもと、比良の雪嶺が聳え立つ湖国を北上している頃。車窓に映る天蓋光景も、ハーシュの音空間も透明感つよし。なんだか少しだけ暖かな気持ちになった。

いきなり一曲目で掴まれた。モンクの曲、ベムシャ・スウィングのブロット、モンクの極端に間引いた音の違和感という愉悦を、ハーシュがハーシュの音で再構築、その巧さ・気持ちよさに驚いてしまった。似て非なる、ではなくて、非なれど似たような愉悦の音空間。ハーシュの音がボクの周りを覆っていく。ドラムが少し煩いのが残念だけど、ときとして聴こえないくらいハーシュの存在感が大きい。

以降、動の曲、静の曲が交互にやってくる。動の曲では、やはりドラムが気に食わないので、静の曲がいいかなあ。ピアノが綺麗になっているイメエジがなんとなくボクのなかのヴィレッジ・ヴァンガードと結びつかないのだけど。もう少し、じっくり聴いてみようと思った。ハーシュ初心者だしね。

ブログを書こうと調べていたら,ちょっとしたプレゼント(2008年のライヴ)を見つけてしまった。お暇ならどうぞ。