Buddy Tate meets Dollar Brand (1977,Chiaroscuro)
A1. Goduka Mfundai(Going Home)
A2. Heyt Mazuriki
A3. Poor Butterfly
B1. In a Sentimental Mood
B2. Doggin' Around
B3. Just You Just Me
Buddy Tate(ts), Dollar Brand(p), Cecil McBee(b), Roy Brooks (ds)
バディ・テイトは1913年、テキサス生まれの古い世代の奏者。ビッグ・バンド主体で、モダンジャズの奏者として扱われたり,扱われなかったり。だけど1970年後半以降、つまり還暦を過ぎてからの露出はかなりのものだったと記憶している。細かな時代のスタイルを越えた図太いテナーの音が魅力で、とにかく動じない音なのだ。
ボクはこのLPレコードを何故か持っていて(記憶が薄い)、多分、ダラー・ブランドに引かれて手にしたのかな。この数年、たまにはターン・テーブルに載せることがある。面白いことなのだけど,1970年代のややフリーに近くてフリーじゃない奏者、ダラー・ブランドやセシル・マクビーと紡ぐ音が実にしっくりきているのだ。何と云うか、ある種の普遍性を湛えた音には細かなスタイルを超越した音楽性があって、テイトの音が若い奏者たちを呑み込んで生かしているような印象.とてもいいですよ。退屈しない。
ボクがこのLPレコードを聴くときの気持ちは、セシル・マクビーの音が聴きたいとき。A面一曲目のマクビーのベースが繰り返す音が作る"Post-Loft Jazz"の空気がとっても好き。荒っぽいアフリカ風。そんな音がバディ・テイトにしっくりくるのだ。彼も骨太のテキサスだからねえ。ボクもテキサスで随分仕事をしたので随分,彼の地が好きなのだ。オトコがオトコで、オンナがオンナという世界。フォートワース(普通はトランジット以外で行かない街、仕事だった)のダウンタウンで呑んでいたら、隣のお姉さんが"In Texas, "と力瘤が入った声を出して”オンナは25までにコドモをつくるものよ”って断言したのには驚いた。カルフォルニアの混沌とした開放感の世界、東部の倒錯したエスタブリッシュメントの世界とは随分違うモノだ。だから、これはジャズはジャズという文脈?で作られた音なのだ。
この晩年に脚光を浴びたバディ・テイトは2001年2月に亡くなった。小さな死亡記事は日本にも出た。最期の地はアリゾナ・フェニックスの近所,チャンドラーという街。wikiで知った。2000年から2001年にインテルとの仕事で2〜3回行ったことがある街。知らぬ間にニア・ミスだったのだ。不思議な感じ。周囲はサボテンと砂漠。ボクが5月に行ったときは摂氏50度超の世界。地獄の釜が開いているといって良い。せめても全米の避寒地と云われる時期2月に彼が亡くなって良かったなあ、と思うのだ。なんとなくHeavenに辿り着いたに違いないと思うから。