K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

金澤の春、月夜に酔い歩く


犀川櫻橋のうえに浮かぶ月。大きな音を立てて流れる瀬のあたりに、月光も流れていた。

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金澤に移り住んだ最初の秋に驚いたことは雨が多く、また気候の移り変わりの激しさ。気が変わりやすい、というよりは激しやすいヒトの掌のうえで暮らしている感じ。怖い。その代わりに雨上がりの空の透明度の高さとか、雲が流れる空の大きさとか、雨の合間に垣間見える姿見はとても美しい。きれい。

そんな気候の故か、月の明るさや大きさにも驚いたものだ。随分長い間、気持ちが囚われていて、満ちていけばどきどきし、欠けていけばはらはらするような日々。だから、何だか情緒がとても不安定になることがあって、この数カ月は素知らぬ顔をして過ごしてきた。やれやれ。

いつだったか、柿木畠の蕎麦屋で呑んで、気持よく帰る路すがら、鱗町から櫻橋、櫻坂そして櫻木通り、なのだけど、気がつくと左肩のうえに浮かんでついてくる満月に気がついた。なんだか久しぶりだったのだけど、高い、薄い雲が流れていて、朧月の風情。弱々しさが金澤の月らしからぬ、なのだけど。犀川櫻橋のうえに浮かんでいたときには、大きな音を立てて流れる瀬のあたりに、月光も流れていた。まだまだ大気は冷たくピンという音を立てていたのだけど、大気の透明度は低くて、なんだかヘンな宵だった。

櫻木通りをついてくる姿も弱くて、なんだか可笑しくなってしまった。そんな久々の邂逅のスナップを。彼(彼女?)との微妙な心理的距離感を楽しんでしまった夜だった。

櫻坂の枝垂れ桜越しにみえる

近所のおうちに浮かぶ。途中で電線をひっかけたようだ

ボクの安借家のあたりまでくると妙に明るくなってきた

 

それではおやすみなさい。