Gary Peacock: Shift in the wind (1980, ECM)
A1. So green
A2. Fractions
A3. Last first
A4. Shift in the wind
B1. Centers
B2. Caverns beneath the zoth
B3. Valentine
Gary Peacock(b), Art Lande(p), Eliot Gigmund(ds)
なんとなく、目覚めたらLPレコードを聴こうかなって思って、数日そんな感じで過ごしている。ただの思いつきなのだえど。だけど、やはり針を下ろすと何とも気持ちの良い音が聴こえてくるので、なんかちょっとした幸せ感がもらえる。どう表現したらいいのか分からないのだけど。LPジャッケトを手に、レコード盤を取り出すまでのプロトコルに意味があるし、音そのものが少し厚めの澄んだ音がするのだ。
ここ数年はふっとゲイリー・ピーコックが気になっていて、見かけたら出来るだけ持って帰りたいなあと思う。これも、そんな一枚で最近購入した西独製のLPレコード。ピアノがECMから「ルビサ・パトロール」を出しているアート・ランデ、ドラムが晩年のビル・エヴァンスと共演していたエリオット・ジグムンド。
アート・ランデの何となく気になっていたピアニスト。綺麗なトーンでピアノを鳴らすのだけど、とても淡々としていてまさに淡麗の味わい。流れてしまった音が、そこに存在していたことすら記憶に留めないような、風のような音のように思える。だから何回も何回も聴いているのだけど、爽やかであった記憶だけを残す感じ。ジグムンドもまあ影がうすいことをが味のようなドラマーだしね。
だから饒舌とは云えない、寡黙な印象が強いベーシストであるゲイリー・ピーコックの図太い音が、木や弦の唸りを伴って迫ってくると、もうそのベースの世界。ピアノもドラムも巧く引き立てる。ピーコックの音が好きなのは、その楽器のボディが木でできていることを改めて教えてくれる音色や、決して多くない音で演奏の芯のようなものを与え続ける力だと思う。先日、マンハッタンのブルーノートでリーコニッツのセッションを聴いたが、明らかにピーコックの存在が楽曲の芯を与え続けていたように思う。
タイトルがShift in the windなのだけど、どんな色の風が吹くのだろうか、とふっと思った。水に音があるように。