K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

北からのお客様とエンターティメントJAZZ会@花のアトリエこすもす


写真は北からのお客様の一人・工藤和彦さんのうつわ(金沢:花のアトリエこすもす http://kazuhiko-kudo.com/?p=844 http://izumi.no-blog.jp/cosmos/2011/09/post_e144.html10/14-26)

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 相変わらずJazz会は休会中。何となく寂しく感じるこの頃。一ヶ月の繰り返しのアクセントだったから。月のモノがなくなった感覚。勿論、女性の月のモノとは違うのだけど、って満ちた月を見ながら書いているのは変だな。

 つまらない書き出しはともかく、今は「花のアトリエこすもす」さんのご厚情で、折をみて開催させて頂いている「出張ジャズ会」。今回のテーマは金澤にお越しいただく2人のお客様、北海道と新潟からの2人をお迎えする会。そんな訳で「北の国」からのジャズを集めようか、と思った。だけど、またもやECMの静謐ジャズ路線になりそうで如何なものか。そんな訳で、激しく呑み呑み喰いする会なのだから、北の国のジャズではじめて、そのあとはグッとエンターテイメント路線で固めることに。それに、毎回、細かな選曲を行なっているのだけど、今回はLPの片面から両面程度の長さで楽曲を流すことにした。そのほうがエンターティメントっぽいかなあ、ということで。

1.プロローグだけは北の国から

(1)Monica Zetterlund with Bill Evans Trio: Waltz for Debby  (1964)

Monica Zetterlund(vo), Bill Evans(p), Chuck Israels(b), Larry Bunker(ds)

北の国って云うと、まずは北欧をイメエジ。とっさに思い出したのはモニカ・ゼタールンド。ビルエヴァンスとの美しい共演。ボクたちの北欧イメエジ通りの透き通った唄声とビル・エヴァンスの唄伴はうっとりするほど麗しい。しかし、この録音から40年後、病気で車椅子生活を送っていた彼女は火災でこの世を去ったという。寂しいことだ。

(2) Caecilie Norby: Queen Of Bad Excuses (1999)

 これはデンマークの唄い手。ジャズ畑じゃないようだけど、ジャズレーベルBlue noteから出した「ダメな言い訳女王」。タイトルが面白いから流します。

2.ジャズはエンターテイメント:ルイ・アームストロングとともに

ジャズはエンターテイメント。その香りを高らかに吹き上げたのはルイ・アームストロング。理屈抜きに楽しんで!

(1)Metropolitan opera house jam session 1944

Billie Holiday, Louis Armstrong, Red Norvo, Lionel Hampton, Art Tatum, Teddy Wilson, Barney Bigard,  Jack Teagarden, Cleman Hawkins, Sid Catlett, Oscar Pettiford , Roy Eldridge,  Al Casey,  Benny Goodman, Jess Stacey, Sid Weiss, Morey Field

 第2次世界大戦のさなか、米軍兵士慰問用のレコード(VDISC)が録音された。そのなかの一つがメトロポリタンオペラハウスでの豪華なジャズ・コンサート。1944年1月18日。その頃、日本は敗色濃くなり、各地で連合国の攻勢にあって悲惨な最期を迎えた兵士が多い頃。北の国は頑強な兵士たちの出身地でもあるのだ(旭川ガダルカナル、新潟・高田はインパール、金沢は日露戦争の旅順など)。対する米国は、こんなのを聴いて気勢をあげていたわけだ。踊れて、唄ありの純然たる大衆芸能の世界。空前絶後の豪華メンバーの一夜を楽しんでください。

(2)Ella Fitzgerald & Louis Armstrong: Ella and Louis(1956, Verve)

Louis Armstrong (tp,vo), Ella Fitzgerald (vo), Oscar Peterson (piano), Herb Ellis (g), Ray Brown (bass), Buddy Rich(ds)

戦中のジャムセッションの録音にヒントを得た希代の興行師ノーマン・グランツ。彼はジャズの一大イヴェント”JATP: Jazz at the Philharmonic”を企画し、それをレコード盤に載せて商売に。その彼が興したレーベルがVerve。エラもこのレーベルから売りだされた。ルイ・アームストロングとの豪華なセッション。

(3) Dave Brubeck: Real Ambassadors (1962, Columbia)

Dave Brubeck(tp), Louis Arm Strong(vo,tp), Lambert Hendricks & Ross(vo), Carmen McRae(vo)

1960年はボクが生まれた年なのだけど、勿論そんなことは世界はおろかジャズにも何にも影響していない。言うまでもなく。1960年はアフリカを中心に沢山の国が独立したことで記憶されるべき年。そんな時の情勢に乗っかって作られたミュージカル(上演されたかは知らない)が、この「ホンマもんの大使」。要はサッチモことルイ・アームストロングが同じ黒人として「本当の大使」になるオトギ話。なんとなく米人の無邪気さを感じさせる。未だに無邪気にイラクだのアフガニスタンの悪者をやっつけに押しかけていますが。そんなお話をブルーベックが楽しく仕上げています。お囃子にLHRがついて、本当に賑やか。最後は高らかに「吹けよサッチモ」と歌いあげて、サッチモがトランペットをブロウします。

3.80年代まで何とか生き延びた「あの頃のジャズ」

スイング時代の代表的奏者は案外長生きでボクが聴きはじめた1979年頃はまだ随分ご存命でした。その頃は「過去の人達」と思っていたのだけど。

(1) Jazz At the Santa Monica Civic (1972, Pablo)

スイスで隠遁してピカソ・コレクターとなっていた興行師ノーマン・グランツが復帰して企画したコンサートがコレ。考え方は昔と変わっていなくて、大雑把なスウィング・パーティ。賑やかで楽しいに尽きる。そして再びこさえたレーベル名はピカソにちなんでパブロ。

Disc1: Count Basie Orchestra: Count Basie (p), Freddie Green (gt), Norman Keenan (b), Harold Jones (dr), Paul Cohen, Waymon Reed, Sonny Cohn, Pete Minger (tp), Al Grey, Mel Wanzo, Frank Hooks (tb), Bill Hughes (btb), Eric Dixon, Jimmy Forrest (ts), Curtis Peagler, Bobby Plater (as) etc.

一つ目は大戦前から活躍していたカウント・ベイシー楽団の最終期の一瞬を切り取った記録。録音はいいし、なんといってもベイシーのコロコロ・ピアノと、フレディ・グリーンのキレがいいリズムギターが最高に楽しい。

Disc3: Ella Fitzgerald (vo), Tommy Flanagan (p), Freddie Green (gt), Keter Betz (b), Ed Thigpen (dr), Paul Cohen, Waymon Reed, Sonny Cohn, Pete Minger (tp), Al Grey, Mel Wanzo, Frank Hooks (tb), Bill Hughes (btb), Eric Dixon, Jimmy Forrest (ts), Curtis Peagler, Bobby Plater (as) etc.  

このエラも豪華なバック・バンドをバックに叫ぶが如く、されど巧く抑制された歌唱を披露している。あまりエラは好きじゃないのだけど、これは別格だね。

4.エピローグ代わりに:おやすみなさい

(1) Joyce:Visions Of Dawn (1976)

Joyce(vo,g), Nana Vasconcelos(perc), Mauricio Maestro(g)

1960年代のボッサ・ノヴァのあとのブラジル・ポップスMPB。1970年代の花はジョイス。未だ健在で日本にもやってくる。こんな音楽を聴いていると幸せなキモチが暖かい風とともにやってくる。

(2)Fred Hersh & Norma Winstone: Songs & Lullabies (2003)

Fred Hersh(p), Norma Winstone(vo)

酔っぱらいのなかで聴いてもらえるかあやしいけど、おやすみの音楽を。