K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

小曽根真 and No Name Horses@金沢 ピアノの素晴らしさとホーンアレンジのミスマッチが気になったけど


小曽根真 and NO NAME HORSES((2011.10.25, 金沢 本多の森ホール)
小曽根真(p),エリック宮城,木幡光邦,奥村 晶,岡崎好朗(tp,flh)
中川英二郎,片岡雄三(tb),山城純子(b-tb)
近藤和彦(as,fl), 池田篤(as),三木俊雄(ts), 岡崎正典(ts, cl), 岩持芳宏(bs,cl)
中村健吾(b),高橋信之介(ds)

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 ここのところ多忙で、かつ友人の来訪を迎えたりで、時間がいくらあっても足りない。こんな状態も予測できなくはなかったが、昨秋聴いたピアノがすこぶる良かったので、出不精のボクが小曽根真のコンサートへ行ってきた。ペナルティーは翌朝の早起きで仕事の準備。ほぼ連日の自転車操業。トホホ。

 実は内容を確認せずに買ったチケット。まさかのビッグバンド、と知ったのは会場。ピアノトリオにトランペット4管、トロンボーン3管、テナーサックス、アルトサックスそれぞれ2管。ボクはそもそもはビッグバンドは趣味に合わないので、イヤな予感がした。だから、ビッグ・バンドはギル・エヴァンスのような流れの編曲(マリア・シュナイダーとかボブ・ミンツアー)じゃないと聴けない。あるいはカウント・ベイシーくらいスイングすれば好きだ。

 結論からいうと、やはりホーン・ブラスの編曲が臭くて堪らなかった。いいアレンジャー入れた方がいいんじゃないかな。昔聴いた上田力の編曲のほうが随分良かったと思った。しかもPAのバランスが悪く、ホーン・ブラスが吹き出すとピアノが聞こえない。なんかバディ・リッチ・ビッグバンドみたいで参った。

 だけどコンサートの総評としてはまずます、というところ。とにかく、小曽根のピアノは良かった。臭いホーン・ブラスのアンサンブル(だってバディ・リッチ・ビッグバンドみたいで)が終わって、小曽根のピアノ・ソロにはいった瞬間の異次元感覚。特に後半はラプソディー・イン・ブルーを中心としたプログラムでは、抑えられたホーン・ブラスの編曲もよく、PAのバランスも良くなっていたので、かなり楽しめた。

 ブラスやホーンの奏者はなかなかの巧者だったから、あのアンサンブルの編曲がミス・マッチはなはだしい。まあスタートでサド・メルとかKai&JJ風(トロンボーンノバトル)の乗りだったので、あれは完全にはずしているとしか思えなかった。まあジャズ・クラブの雰囲気を楽しめ、ということだったらしいのだけど。

 次はプログラムをちゃんと確認しようと思った次第。

 コンサートが終わってから、家路を急いだ。仕事があるからね。小雨交じりの石引の丘の上から嫁坂をくだったとき、「あの金澤らしい何か」が漂うような漆黒の森のなかを歩いた。風が吹いて、雲が流れ、星が出入りし、そんな小雨の晩の寂しさを味わいながら。お決まりの「ポンと結界を抜けたような」感触を感じて、笠舞の段丘へ降りた。目の前がもう犀川で長良坂のお地蔵様の近く。喧噪のコンサートから何だか不思議な感触を感じながら家まで運ばれていった。

追記:

youtubeにアップされている動画をみても違和感はなくて、とても良いホーンのアレンジ。まあ前半の選曲がボクの好みに合わない、ってことですね。