K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

五十嵐一生: Tokyo Moon (1996) 秋深まる月なきルナパアクで

五十嵐一生: Tokyo Moon (1996, Toys Factory)
   1. Lune Et Calvados
   2. Tokyo
   3. Praying With Mr. Sharp
   4. Sorry Seems To Be The Hardest Word
   5. Holiday
   6. The Way, Long Long Tree Lined
   7. Peach
   8. Pretty Blossom
   9. The Look Of Love
  10. You're My Thrill
五十嵐一生(tp),竹内直(ts,bcl,fl), 俵山昌之(b,el-b), 納谷嘉彦(p,el-p), 井川晃(ds)

 子供の頃に萩原朔太郎か誰かの詩のなかでルナ・パークというコトバを知って、なんとなく淡い月の光のもとで動く遊具(だけど漕ぎ手は見えない)の姿がイメエジとして焼き付いてしまった。だから今でも、月のことが話題になると、そんな独りよがりな感覚を楽しんだりしている。まあ萩原朔太郎稲垣足穂ミックスのような.

 このアルバムのタイトルの月も天空に浮かぶ月というよりは、現代のルナ・パアクたるTokyoの光景。淡い光のもとで、数知れぬ遊具が動いている。だから月というコトバそのものが喚起する温度はとても低いのだけど、照らされた地上の大気には仄かに温もりがあるような感じ。そんな音楽です。まあ月ってコトバだけで何となく、つらつら楽しめてしまうのだけど。(もっとも今は新月から数日だから、秋深まる月なきルナパアクなのだけど)

 この間,金沢某店に客として登場したトランペット奏者「五十嵐一生」氏の旧作Tokyo moon。ボクが大好きなFender Rhodesのオトがこんなに綺麗に録れているアルバムがあるなんて、とトランペットそっちのけでエレピを誉めてしまった...ご本人は大らかに録音技師がオノ・セイゲンだからねえ、と涼しい顔。でも売れなかった、そうで。本当に失礼でスミマセンでした。今度はナマで聴きたいので、誰か教えてくださいねライヴ情報。

 本当にいいアルバムなんですよ、コレ。