K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

ジャズ会#18:昼下がりのジャズ(総集編)情事といえなくもない時間を


「昼下がり」という枕詞には「情事」が続かないといけないのだけど、これは「ジャズ」なのだ。暫く休会中だったジャズ会を昼間に。改めてこの2年あまりのメニューを見直してみた。ボクが好きな音楽が透けてみえるメニューで、何回も同じアルバムをかけていることに驚いてしまった。予定の13時頃から17時頃までの間に流しきれるか分からないのだけど、とにかく並べてみた。


1.楽しいジャズは楽しい(プロローグ)
(1) Lionel Hampton: Stardust (1947)ジャズ会#1(2010年2月)、ジャズ会#11(2010年12月)
Willie Smith (as); Corky Corcoran (ts); Charlie Shavers (tpt); Lionel Hampton (vib);Barney Kessel (g); Tommy Todd (p); Slam Stewart (b); Lee Young (d).
なんかジャズの楽しさの原点みたいなアルバムで、未だにボクのなかで脳内順位は高い。



2.ボクが大好きなジャズ・ピアノ抄
ジャズ会の思わぬ余波はクラシック・ピアノへの興味。ジャズを聴く感覚に「変調」をきたして、随分と長い間、その再構築にかかったような気がする。好みが随分変わったような気がするけど。
(1)Keith Jarette: Koeln Concert(1976, ECM) ジャズ会#1(2010年2月)、ジャズ会#4(2010年5月)より
カト氏のジャズはここからはじまった。最初はCDで聴いてもらって、次は邦盤LP、そして西独盤LPで透明度の高い響きを。今回は新たに96kHz・24ビットの高分解能音源で。コンサート開始直後の客席のざわめきまできこえる。なんとなく流れがスムーズじゃないことが気になるが、やはり一時代を代表する音楽だろうと思う。


(2)Bill Evans: Waltz for Debby (1961, Riverside)ジャズ会#6(2010年7月)、ジャズ会#12(2011年2月)より
Bill Evans(p), Scott LaFaro(b), Paul Motian(ds)
定番のthe Village Vanguardでのライヴ.最近は亡くなる前,70年代の演奏を良く聴くのだが,定番ということでコレ。Scott LaFaroは,この後に自動車事故で亡くなるので伝説のヒトになっちゃった。これも96kHz・24ビットの高分解能音源で。音はLPとあまり変わらないのだけど、クラブのざわめきが再現されている。このアルバムをかけた7月の夜半過ぎ、雷鳴とともに梅雨は終わった。

(3)Bill Evans: You Must Believe in Spring (1976)

Bill Evans(p), Eddie Gomez(b), Eliot Zigmund(ds)

これを聴くと晩年の彼のピアニズムの深化に痺れてしまう。
(4)André Previn: We Got Rhythm (1998, Deutsche Grammophon)ジャズ会#9(2010年10月)より
André Previn(p), David Finck(b)
クラシックのレーベルから出ていたGershwin曲集。この曲集は素晴らしくてJazzあるいはClassical musicか、という議論を寄せ付けないconfusionなきfusion musicになっていると思う。


(5)Keith Jarette: The Carnegie Hall Concert (2000, ECM)ジャズ会#4(2010年5月)、ジャズ会#11(2010年12月)より
アンコール集から。この十数年の時間の流れがピアノによる表現を深めていると思うだけど、どうだろうか。泣いたヒトもいたなあ。


(6)René Urtreger: Onirica (2001, Sketch)出張ジャズ会(2010年6月),Jazz会#16(2011年5月)より
長すぎる午睡のあとに流れてくるような緩さが好きだなあ.1950年代から活躍するピアニストが加齢で得たものは..


(7)Brad mehldau, Kevin Hays, Patrick Zimmerli :Modern Music (2011, Nonesuch)
最近気に入った一枚。このアルバムはとても美しい。ジャズともクラシックとも言い難い、Contemporary musicとしか表現できない音楽が投げ出されている。


(8)小曽根真:Road to Chopin (2010)
ナマで聴くまで小曽根真のピアノの良さは分からなかった。この間の金沢公演はあれまあ、だったけど。



2..ボクが好きになった弦楽器のジャズ抄
この2年で買ったアルバムの弦比率はとても高い。クラシックは圧倒的にピアノなのだけど、ジャズはベースとかギター。音と音の間を聴かせるような音楽にとても惹き付けられるのです。
(1)Stephane Grappelli: Young Django(1979,MPS)ジャズ会#3(2010年4月)
MPS, Stephane Grappelli (vln),Larry Coryell (left-g), Philip Catherine (right-g),
老いたフランス人ヴァイオリン奏者ステファンが振り返る弦のジャズの歴史。旅芸人ロマのギタリストとフランスの接点。


(2)Ralph Tawner: Diary(1973, ECM)
飛翔の力を得、蝋付けの羽が溶けるほど舞い上がり、そして墜死したイカロスの儚い話しを音にすると。


(3)Toninho Horta: Quadros Modernos (2000)出張ジャズ会(2010年6月)より
Toninho Horta(g), Chiquito Braga(g), and Juarez Moreira(g)

トニーニョのギターで午後を過ごす幸せ



(4)Pat Metheny: What's It All About(2011,Nonesuch)
これも最近気に入っている一枚。Brad Meldauとは違ったアプローチでとても懐古的。みんな振り向きはじめたぞ!


(5)Bill Frisell:All We Are Saying(2011, Nonesuch)
これは、こすもすでもかけたレノン曲集。浮遊感のあるギターをどうぞ。



3.Kプロデューサが好きなジャズ・ヴォーカル
最近、ヴォーカルのアルバムも少し集めるようになったなあ。これもこの2年の変化。
(1)Carmen McRae: As Time Gose by / Carmen McRae Alone Live at the DUG(1974)ジャズ会#1(2010年2月)より 

村上春樹のノルウエィの森にも出てくる新宿DUGのライブ.弾き語り.その後、あのお話は映画化されましたね。

(2)Blossom Dearie: Once Upon A Summertime (1958, Verve)ジャズ会#2(2010年3月)より
Blossom Dearie(p,vo), Mundell Lowe(g), Ray Brown (b), Ed Thigpen(ds)
キュートな唄声の魅惑。


(3)Lambert, Hendricks and Ross(LHR): High Flying (Columbia)ジャズ会#2(2010年3月)で別アルバムを紹介
Dave Lambert(vo), John Hendricks(vo), Annie Ross(vo)


(4)The Singers Unlimited: A capella (1972,MPS)ジャズ会#2(2010年3月)
白人の声質の結晶をコーラスに.ジャズか?はともかく好きなのです.


(5)The Tony Bennett Bill Evans Album (1975, Fantasy)ジャズ会#2(2010年3月),ジャズ会#8(2010年9月)
これも好きで堪らない一枚。


(6)Fred Hersch & Norma Winstone: Songs & Lullabies (2003, Sunnyside)
これも白人コンビのピアノとのデュオ。フレッド・ハーシュはゲイのピアニストで既にAidsを発症。風前の灯のような状況でピアノを弾き続けている。そんなコンテキストが要らないくらい、儚く美しいピアノを弾くのだけど。


4.もう一つの鍵は「周縁」(エピローグ)
やはり民族音楽を少しだけ昇華させて、汎世界的な音を獲得した音楽は好きだなあ。今はアルゼンチンが気になっている。
(1)Stan Getz:Get Gilberto(Verve)ジャズ会#2(2010年3月)、ジャズ会#7(2010年8月)より
Joao Gilberto (vo, g), Stan Getz (ts), Astrud Gilberto (vo), Antonio Carlos Jobim (g, p), Milton Banana (ds)
ジャズ的には周縁なのだけど、ポピュラー音楽では中心ですよね。これは96kHz・24ビットの音源で。


(2)浅川マキ:ONE(1980) ジャズ会#4(2010年5月)より
ピアノが山下洋輔でとてもしっとりしてる.70年代に完成した和ジャズの世界


(3)Sebastian Macchi,Claudio Bolzani,Fernando Silva: Luz De Agua(2005)エスニックジャズ会(2011年9月)より

清澄なアルゼンチンの新フォークロア

(4)Wayne Shorter (ss, ts), Milton Nascimento (vo), Herbie Hancock(p), Airto Moreira(perc)他
実はジャス会#0(2010年1月)でもかけたのだけど。


(5)Trio Tzane:Chants traditionnels des Balkans "Gaitani"(2009,naive)エスニックジャズ会(2011年9月)より
最後は東欧+中東のミックスで。