Biréli Lagrene: Routes To Django (1980, Antilles)
A1. Fiso place (3:44)
A2. Biréli swing 1979 (5:50)
A3. All of me (3:55)
A4. Tschirglo waltz (1:57)
A5. Latches (3:36)
A6. I've found a new baby(4:05)
B1. My melancholy baby (4:19)
B2. Bluma (3:50)
B3. Biréli blues 1979 (3:35)
B4. Wave (3:49)
B5. Night and day (5:22)
B6. Boxer Boogie (3:30)
Bireli Lagrene(g), Gaiti Lagrene(1st rhythm g), Tschirglo Loeffler(2nd rhythm g on A2 to B1, B3 to B6), Jan Jankeje(b on A2 to B1, B3 to B6)
Gursts: Schmido Kling(vln on B1), Jörg Reiter(p on A2, A6), Bernd Marquart (tp on A6), Wolfgang Lackerschmid(vib on A5)
先日、ディスクユニオンへいそいそ出かけたときに買った中古LPレコード。典型的なジャケット買いでシックなモノ・トーンのLPジャケット。ラグレーンを映す光と影が美しい。とてもいい。
20枚くらいLPやらCDやら手にしたときなので、ジャケットを見て、そのまま買い物かごにいれた。値段も500円以下だったしね。帰ってからよく見ると1980年の作品。驚いた。
ボクが彼を認知したのは、ジャコ・パストリアス凋落後の欧州ツアーのメンバーになった1986年頃以降。その頃「ロマ(ジプシーは蔑称だそうで)の若手ギタリスト」ということだったから。このときのイタリアのライヴは結構好きで、ワンパターンに堕ちているとは云えジャコも快調。ラグレーンのギターもしっかりエフェクターが効いたアグレッシヴな演奏。なかなかよし、だった。そんなイメージだったのだけど、いつの頃かジャンゴの系譜に繋がるギタリストに回帰していたという経歴。仕事で出かけたブルターニュで、知り合いからリュクとのギターデュオを貰ってそれを知った。それから、これは愛聽盤で、味わいが深い。
だからこのLPレコードが1980年のアルバムと知って、ジャコとの共演以前なので驚いたのだ。一体幾つだ、と思って調べると14歳。ロマの少年が旅芸人となっている、ということ。あれまあ。
このLPレコードは、タイトルからジャンゴ曲集かと思って手にしたのだけど、ジャンゴとかグラッペリの曲は入っていない。自作が多くて、なかなか頑張っている。基本的にはリズム・ギター,ベースのうえでラグレーンが弾くという至ってシンプルな編成。それなりに気持ちよく聴かせるし、何と言っても1980年頃のLPレコードは音がいいので気持ち良い。ただ何となく、コトバでかけないような滋味というか味わいが薄いという印象は拭えない。やっぱり14歳だしなあ、ということで。技巧的には立派なので、ライヴ会場のドイツ人達(じゃないかなあ)は喜んでブラボーを連呼している(田舎臭くて、うるさいけど)。一聴の価値あり、だとは思う。
同時に買ったリュクとのデュオの近作Summertime、やはりコレは抜群によかった。少年もすっかり中年になって、しっかり音が美味しくなっている。Jerry GarciaとDavid GrismanのSo What(A君に教えてもらった美味しい弦のデュオ)と同じくらい気持ち良い。
ロマはアーリア系ではあるけれどインド方面が出自と云われる。だけどラテン系(ラテン系言語の民族という意味)音楽の基層の一つじゃないかな。そんな音はやっぱり楽しい。ときどき思うのだけど、欧州や中南米のラテン系諸国とくらべて冬の空は暗いし、なんとなく奥座敷みたいな金澤なんだけど、住んでいるヒトは微ラテン系が多いような感じ。何と言っても、生産より消費、蓄積より蕩尽、のように見えるよね。だからラテン系の国々って常にソブリン・リスクと抱き合わせ。この土地だって、あのモト首相をみると、良し悪しはともかく、ラテン系の指導者だと思いませんか?(失言だったらゴメンですが、政治的意図はございません)