K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Brigitte Fontaine (1972) 冬、雨の朝に

Brigitte Fontaine(1972, Saravah)
   A1. Brigitte
   A2. Moi Aussi
   A3. L'Auberge
   A4. Premier Juillet
   A5. Le Dragon
   B1. Eros
   B2. Une Minute Cinquante-Cinq
   B3. Ou Vas-tu Petit Garçon
   B4. Marcelle
   B5. Merry-Go-Round

歌い手とアルバムタイトルは同じです。

 

 冬、雨の朝に聴く音楽じゃないと思うのだけど、こんなときに陰気な音を聴きたくなるなんて。どうかしている。

 どうかしているのだけど、朝からすっかり沈殿している重い空気には妙にしっくりくる音。ジャズを聴くヒトには「ラジオのように」で知られるフォンティーヌなのだけど、同じ頃のこんな作品も熱い時代から冷めていくような白けた空気が濃厚に詰まっている。面白い。

 足元には一番重い空気が流れていく。その冷たさは体の上へ上へと冷やしていく。耳に届いた白けたオトは脳髄から下へ下へと冷やしていく。すっかり凍ったような気分になって、LPレコードをひっくり返す。オトの間隙にストーブが鳴る。

 なんだか本当は暖かいオトを聴くべきなのでしょうけど。出来心。まあ浅川マキを聴くときと、同じ気持ちだと気がついたのだけど。

 

あまり大きな音で鳴らさないでください。卒倒するかもしれないから。ボクは割と大きな音量だったので、通報されないかビクビクしたのだけど。最初だけですけど。後の男声、打楽器との絡みなんとも好きな感じ。ジャズっぽく聴けるし、ときにフランス人のアルバムにあるようなアフリカ的なエスニックへの憧憬が垣間見える。エチオピアに武器を売りに行った詩人の国だなあと思うのだ。