K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Thelonious Monk Plays Duke Ellington (1955) RVGの刻印

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先日、いつも参考にしているブログの記事で、このアルバムが取り上げられた。話題はVan Gelder録音のRiverside。古いレコードを入手する目的が、その音響の良さに惹かれて、なのだから、そこに眼が行くのは当然だ。ニヤっとして読み始めた。

ボクはジャケットに惹かれてセカンド・プレス(ファースト・プレスは高価だし)なのだけど、彼はファースト。まあ音は違わないだろうな、とか思いながら読み進める。

①なぜヴァン・ゲルダーの刻印がないのか

の記述で目が止まった。そう、刻印がないということは、マスタリング・カッティングが違うと云うこと。ボクのセカンドプレスには、刻印があった、ように記憶していた。そう、音が違う可能性がある、ということ。ブルーノートのRVG録音はピアノ向きではない、と思っているので、ならばRVG刻印なし、が気になって仕方が無い。実は、ファースト・プレスは二回ほど、某ショップで「比較的安価」な盤を見かけた。でも「高価」ではあるので、ジャケットの差異には払えなかった。盤が違うとすると、暫し後悔の海に沈むのだろうな。

そんなことを思いながら、仕事で翻弄される日々なので、確認したのは今朝。

ああ良かった。刻印はなかった。単なる、思い込みだったのだ。そんなつまらない独り相撲が楽しいレコード蒐集。ニヤリとK君焙煎の美味しいcowryの珈琲を呑む朝を過ごしている。

[2016-08-27記事] RiversideのRudy Van Gelder

  ルディ・ヴァン・ゲルダーというと、Blue Note、Prestigeあたりの印象が濃厚なのだけど、その後のVerveやCTI、更にはRiversideでの録音もある。Blue Noteでの音とは明らかに異なっており、確かにプロデューサーと録音技師の共同作業で音が造られる、ということが実感される。まあECMだって、そういうことだと思うし。

 これはRiversideでのルディ・ヴァン・ゲルダーの録音。モノラル。ボクが持っているレコードはsecond press。最初のものはジャケットが異なる。モノラル盤を設定針圧が高めの専用カートリッジで聴くと、まずその音圧に参ってしまう。録音時期の古さ、あるいは録音技術の古さ、のようなものを圧倒する音圧で、奏者が間近にいるような時空を飛ばす迫力がある。

 このアルバムでは、Blue Noteでのデフォルメしたような、かなり味付けの濃い録音ではなく、ビル・エヴァンスのアルバムと同じように、比較的、透明度が良好な、バランスの良い録音。あからさまなイコライズはされていなくて、ピアノも自然に響いている。モンクのピアノの響きが実に美しく捉えられている。モンクのピアノは、あの「よたった」感じが前面に感じられることが多いのだけど、そうではなくて打鍵とともに沸き上がる美音、のようなものが明瞭に捉えられている。ベースは強め、ドラムスは若干オフ気味だけど、気にならない。ピアノが圧倒的だから。

 改めてモンクの音世界に浸る。さっきまで聴いていたSteve Lehmanと時代は違えど、奇妙な味がする音の美味しさ、ってこんな感じだなあ、と思った次第。

 

[2012-07-12記事] 懐かしいジャズ喫茶の匂いがする音

 昨夜は久しぶりに自宅で過ごした。雲が流れる夕暮れの山並みをみながらビールを呑んでいた。一昨日に取り上げたRan Blakeを聴いてから、モンクを聴きたくなった。

 昔買ったLPレコードをターンテーブルに載せる。MMカートリッジ(ShureのtypeIII)とマッキントッシュの管球アンプ、それにJBLのスピーカ。懐かしいジャズ喫茶の匂いがする音が流れる。高音の響きは確かに最近のタンノイのスピーカが良いのだけど、意識の底にある音の記憶はJBLのスピーカのほうが近い。針が落ちる音ではじまり、そして針がレーベルの縁にぶつかる音ではっと我に返る。CDに慣れた今、LP片面は驚くほど短い。

 すこし頓狂で、それでいてまっすぐ揺れていくモンクのピアノ。音と音の隙間がピアノの響きを伝える。ECM系ピアニストとは対極にあるHipなピアノ奏者だろ思うのだけど、その響きの喚起するイメエジは案外近いものがある。沈黙の次に美しい音に分類される。素材となったエリントンの曲の骨格を巧く伝えるような味わい。プレヴィンのエリントン集と対極。

 30年前のジャズの聴きはじめ、案外マジメにジャズの名盤を取り揃えた。最近はあまり50年代のジャズを聴かないのだけど、このモンクのピアノ・トリオは全く古びない、音楽として普遍的な魅力をたたえているように思える。ドルフィーのラスト・デイトと同じような味わいなのだ。そして何よりも、この味わいが好物なのだ。

 

Plays Duke Ellington

Plays Duke Ellington

 

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Thelonious Monk Plays Duke Ellington (1955, Riverside) RLP12-201
A1. It Don't Mean A Thing If It Ain't Got That Swing (Ellington, Mills)
A2. Sophisticated Lady (Ellington)
A3. I Got It Bad And That Ain't Good (Ellington, Webster)
A4. Black And Tan Fantasy (Miley, Ellington)
B1. Mood Indigo (Bigard, Ellington, Mills)
B2. I Let A Song Go Out Of My Heart (Ellington, Nemo, Mills, Redmond)
B3. Solitude (Ellington, Lange, Mills)
B4. Caravan (Ellington, Mills, Tizol)
Thelonious Monk(p), Oscar Pettiford (b), Kenny Clarke(ds)
Producer: Bill Grauer, Orrin Keepnews
Engineer: Rudy Van Gelder
Released:Feb 1956
Recorded at Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey, on July 21st 1955

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