K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Pat Metheny: Unity Band (2012) パットの新譜は楽しみなのだけど


 パットの新譜は楽しみなのだけど、今回は何とも。とても良く出来ているのだけど、何だろうか。だから6月にモントリオールで購入してから考え続けた。

 どうもギター奏者リーダーのアルバムに、サックスが入るという構図が好みでないことが明らか。ECMの80/81もいいアルバムだと思うのだけど、聴かない。パットに期待する音空間と「ジャズ・サックス」の音の間に違和感があるから。面白いことに逆は大丈夫。ボクは結構ブレッカー(勿論、亡き弟のほう)が好きなのだけど、パットを脇に配してのリーダ作は良かったなあ。サックス吹きの音空間のなかに彼が居るのは大丈夫。「ジャズ・サックス」と書いたのは、音のパーツとしての「サックス」でなく、ジャズ的なインプロヴィゼーションを孕んだサックスということ。クリス・ポッターも聴き応えのあるソロを演っている。だから、彼が吹いている間はパットに期待する音ではないような感じ。

 同じ感想は、パット・マルティーノの昨年のアルバム、エリック・アレキサンダーにも感じた。どちらも、彼らがギターで奏でるオトの温度が、「ジャズ・サックス」のオトの絶対温度が合わないのではないか? 勿論、ギター一般ということではなくて、グラント・グリーンコーネル・デュプリーは大丈夫。

 もう一つの要素として、上手く云えないのだけど、音の組み立てのなかでインプロヴァイズされた音の比率、のようなものがあるように思える。この比率がある一定の基準を超えないと満足できない、のような。このアルバムでは、この比率が「ボクの好み」を超えていないように思う。よく考えられた音やね、って味。きっとライヴだと違うだろうから、ライヴで聴きたいな、と思った。このような感触はメルドーのアルバムの好き嫌いの凸凹なんかにも極端に出ていると思う。

 近年のメセニーのアルバムでは、What's it all aboutは無条件に大丈夫、Day Tripは躍動感に胸躍りなのだけど、メルドーとの共作は印象が薄い。PMGについては、そんな議論を要しないような濃密な音の世界、大括りでみればメセニーとメイズの音世界のせめぎ合いを聴くような感じなので、言を要しない。このアルバムもPMGに近いような感触を感じながら、そこに達しないことにストレスを感じているように思えてならない。やはり「バンド」のアルバムなのでね。

ちょっと否定的に書いたけど、基本的にはいいアルバムだと思うのだけどね。好きな奏者だから、気になるのだ。

付記:webを眺めていたら、メセニーをメスゥニー(だったかな)と表記している評論家(かな?)がいて吹き出した。日本語で表記する以上、英語は表せない。だから日本人同士の了解性を保つための記号に過ぎない。だからメセニーが正解。気になるならアルファベットで書けばよい。カタカナで発音を真似るのは滑稽。Methenyなんて、同じ米人でも発音のvariationはかなりあるし、フランス人とはお互いに全く通じなくて、筆談で大笑いした経験がある。

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Pat Metheny: Unity Band (2012, Nonesuch)
1. New year
2. Roofdogs
3. Come and see
4. This belongs to you
5. Leaving town
6. Interval waltz
7. Signals
8. Then and now
9. Breakdealer
Pat Metheny(g), Chris Potter(ts,ss,b-cl), Ben Williams(b), Antonio Sanchez(ds)