K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

笠井紀美子:Butterfly (1979) ここ数週間はGrooveする曲ばかり聴いていた


 ジャズを聴きはじめた33年前の夏頃、FMラジオで油井正一Aspect in Jazzを聴いていた。これがボクの師匠のようなもので、正統的なジャズの歴史感が植え付けられたようなトコロがある。なんたって戦前からのジャズ・ジャーナリズムの泰斗だからね。その番組で紹介された新譜がこの笠井紀美子のバタフライ。流れた曲もバタフライで、エア・チェック(懐かしい)して何回もラジカセ(これも懐かしい)で聴いていた。でも早々に興味はFusionではなくて、4ビートの正統的なものに移ったのだけど。

 大分と年月が経ってから、ハービーの1970年代の良さ、が体で分かったようなこともあって、ハービーのLPレコードを買い集めている。そのなかで再び笠井紀美子のこの盤が気になって仕方がなかった。記憶の中では、ハービー自身のアルバムより、ねっとりした妖しい記憶だけが残っていたから。だから、この数年、LPレコードがみつからないか探していた(テキトーにね)。

 結局、LPレコードでは見つからなかった。先日、ディスク・ユニオンでCDの再発を見つけてから辛抱できなくなった。ということで、CDをweb購入したという次第。

 聴きはじめると、これはなかなか楽しい。1曲目でハービーの電気ピアノが鳴りだしたところで、懐かしさが溢れる。オトもそんなに古びていない。だいたいジャケットの笠井がマリーナ・ショウのようなアフロヘアで、全編1970年代後半のBlack music。楽しくない訳がない。

 笠井紀美子の唄は驚くほど抑制的で、それが魅力になっている。笠井の声もパーツの一つとして溶け込んでいて、ハービーの曲として全く違和感なく楽しめる。ハービーのバンドに笠井が客演したような編成だからね。それがとても良い、と思う。結果的には、笠井の吐息が記憶として残っていくような感じ。ハービー・ハンコックのアルバムとしても、素敵な出来じゃないかな。それに1970年代の曲だけじゃなくて、処女航海を歌曲にしたのも魅力。

 だから、ここ数週間はGrooveする曲ばかり聴いていて、ECMはすっかりご無沙汰。はて9月後半に至って、突然、夏が終わって気分が急旋回しているので、夏の想い出のようなこのアルバムをアップしなくっちゃ、と思った次第。

 

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笠井紀美子:Butterfly(1979, CBS Sony)
   1. I Thought It Was You
   2. Tell Me A Bedtime Story
   3. Head In The Clouds
   4. Maiden Voyge
   5. Harvest Time
   6. Sunlight
   7. Butterfly
   8. As
笠井紀美子(vo), Herbie Hancock(key),Bennie Maupin(ss,ts), Webster Lewis(key),Ray Obiedo(g), Paul Jackson(b), Alphonse Mouzon(ds), Bill Summers(perc), 金子マリ(background vo)