21世紀に変わった暫く後、仕事で台湾の新竹に出かけた。世界最大の半導体生産拠点。その頃、既に多くの米国半導体会社は自社生産の打ち切り、台湾への生産委託を発表していた。その関係で台湾の半導体生産の調査に出かけたのだ。最近になって、多くの日系半導体企業が破綻の瀬戸際でそのような方向性に向いているが、今更の感がある。手遅れじゃないのか、と思える。
それはともかく、新竹大半、台北少々の極く短い滞在を2回。ボクより一回り年上の台湾人のマネージャーの脂ぎった迫力に圧倒されたこと、その息子の世代(10代)のサラサラ感が日本と全く変わらなかったことが、とても印象的だった。新興国での経済発展とその後の飽和を予知するような光景。
それから10年、久しぶりに台北に出かけたのだけど、街には日本と変わらぬ人たちが溢れていた。背格好、表情、服装。何もかも。声高でなく、控えめに笑う。ただ少しだけ子供が多くて元気。北京や上海、シンガポールで感じた華人への違和感が全くない。不思議な世界。同じ世界が何かの経緯で二つに分かれて、離ればなれになったようなパラレル・ワールド。そして、少なからぬ距離を隔てて意識し合うような。言葉すら通じなくとも。(多くの華人の押しの強さ、への違和感を感じつつ、ボク自身は華人に間違われることが多いのは、笑ってしまうのだけど。)
10年前と異なるのは国民党の復帰とともに大陸との融和が進み、大陸への直行便が出来、多くの大陸の華人が訪れていること。大声で叫びながら練り歩く大陸の観光団に圧倒されたのだけど、台湾の人たちの困惑したような眼差し。
幾つもの路地を歩いてみたのだけど、物理的な温度だけでない暖かさ、が何となく可笑しかった。
夜市の子供達
何だろう
脂の臭みが漂う
夜中の熱帯魚を眺めるふたり