K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

川崎燎:Mirror Of My Mind(1979) 気持ちよし、ということ


 最近入手した何冊かのレコードガイドはrare grooveという音の定義を与えているのだけど、spiritualとか訳の分からないカテゴリを置いていて、違和感がたっぷりある。だけど「気持ちのよいジャズ的なオト」という括り、とすれば、確かにそんな感じ。ボクにとってのランニングもそうなのだけど、官能性、つまり快楽指数を追求するという点ではとても正解なオトの聴き方、だと思う。かつてのジャズのレコードガイド(油井大センセイはじめ沢山持ってます)に抜けていた観点だと思う。教養主義的な部分がすっぽり落としているから。(珍盤指向の強さには、ちょっと、だけど)

 ボクが結構参考にしているのは、かつて海外出張の折に立ち寄ったCD屋で買ったコンピレーション盤。Acidとかsmoothとかsoul jazzとか書かれたPOPなジャズを聴かせてくれる。BGM代わりだったのだけど、それが、そんな聴き方なんだよね、って気がついて、そこに取り上げられたオトのLPを探したりしているから、アホだと思うのだけど。

 まあ、気持ちよし、ということ、がいいなあと思うこの頃。

 (ECM聴いたり、クラシック聴いたりって毎日は変わらないのだけど、蒐集という観点ですよ)

 さて、このレコードは川崎燎のフュージョンのアルバム。Open Skyは当時のCBSソニーのFusionのレーベル。「あの世界」の評価が高くてLPレコードは¥5000くらい。発売当時のSJ誌記事(インタビューがあったよ)を憶えている世代としては、定価2800円の中古にそんな金は出せない。幸い、再発のLPレコード(EM record)を比較的安価(もとの定価程度)で入手。いそいそ聴いてみた。

 確かにとても気持ち良くて、快感指数の高い音が続く。メンバーもいいのだけど、曲としてのまとまりが良くて、個々のプレイに気持ちはいかない。完成度が高いからだろうね。だから、当時のジャズファンとしてはsmoothすぎて、このテの音楽は全く面白くなかった、と気がついた。だけど、オトの塊を素直に引き受けたときの、気持ちの良さ、には気がつかなかった、ということ。

 川崎燎のインタビューが同梱されているけど、これは再発盤ならではの面白さ。当時、このレコードの歌い手・インド系女性に惹かれたこと、声だけじゃなくて、そんな話が出ていて、すっかり楽しんだ一枚。川崎燎といえばGil Evansとの共演盤を聴け、的な硬派だった筈のだけどな。まあ、聴いてみてください。

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川崎燎:Mirror Of My Mind(1979, Open Sky)
   A1. Trinkets & Things
   A2. I've Found The Way Of Love
   A3. Dreams For Radha Part I, II, & III
   B1. Braziliana
   B2. Winter's Here
   B3. In & Out Of Love
   B4. Little One
川崎燎(g),Radha Shottam(vo),Leon Pendarvis(key),Anthony Jackson(b), Harvey Mason(ds),Rubens Bassini(perc)