K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Herbie Hancock: Mwandishi (1970) 春眠を誘う浮遊する音群


 相変わらず忙しい、と云っても、遊びを含めてだから文句は云えない。仕事場の引越しや、夜の予定も仕事中心に結構あって、なかなか難儀。のんびり欠乏症。

 だから呑んで帰ってから、そっとLPレコードを聴くことが何よりも楽しみ。友人達と聴くLPレコードを選びながら聴いて、惹き込まれたのはハービー・ハンコックのMwandishi。人気があるブルーノート時代(新主流派の旗手、だよね)とコロンビア時代(ファンク系フュージョンの王者、だよね)の合間にあって、あまり語られないワーナー時代の一枚。Mwandishiって、どうやって発音するのだろうか?スワヒリ語、らしい。当時、ハービーのバンド・メンバーにはスワヒリ語の名前がついていて、まあ公民権運動後のBlack is beautifulという思潮のなかの1シーンなんだろうね。

 CDでは随分と前から持っていたのだけど、あまり聴いていなかった。一言でいうと、だるい、感じ。だから当時も商業的にはウケなかったのではないか。Speak like a childを電化したような感じ。浮遊感はあるが、ビートは効いていない。コロンビア時代のヘッド・ハンターズでポール・ジャクソンがビートを響かせたのは、そんな流れじゃないかな。

 最近入手したLPレコードを聴くと、、意外やとてもいい。ハービーのFender Rhodesが甘く漂う。すっかり毎夜の1枚になってしまった。春の眠気のようなハービー。2日連続、これ聴いて居眠り。とても気持ち良い。春眠を誘う浮遊する音群、なのだ。あやうく風邪をひきかけた。

 A面とB面では圧倒的にA面が良い。B面は冗長な感じで、部分的にフリー・フォームもどき、が入っていて、音造りがとても中途半端な感じ。You'll Know When You Get Thereはその後のニューポートジャズフェスティバルのライヴ(VSOPバンドのデビュー盤)のC面に入っているが、こっちの方がいいかなあ。VSOPの直球4ビートとヘッド・ハンターズの直球ファンク・ビートの間にあって、この浮遊する音の影が薄いこと、薄いこと。

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Herbie Hancock: Mwandishi(1970, Warner Bros.)
    A1. Ostinato (Suite For Angela)
    A2. You'll Know When You Get There
    B1. Wandering Spirit Song
Herbie Hancock(Fender Rhodes), Buster Williams(b), Billy Hart(ds),Eddie Henderson(tp,fl), Bennie Maupin(b-cl, fl), Julian Priester(tb), Ronnie Montrose(g), Leon "Ndugu" Chancler(ds,perc), Jose Areas(perc)