K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

金沢・辰巳用水遊歩道:お仕舞い方の桜の候を過ごす


 3月末に咲きはじめた金沢の桜。染井吉野ではない桜が沢山あるから、一月経った今も何処かしらで咲いている。ボクの仕事場の前にも枝垂れ桜があって、ようやくお仕舞いになろうとしている。昨日の抜けるような蒼天のもと、数少なくなった花弁がゆっくりと落ちていくのを眺めていると、本当は初夏へ進み始めた季節を感じる筈なのだけど、未だ寒い日々が続いている。

 ボクが金沢で好きな場所の1つが辰巳用水遊歩道。犀川上流から金沢城へ目がけて下り落ちる水。その殆どが地中を通っているのだけど、土清水のあたりで地表に出ていて、横に遊歩道がついている。眼前が涌波への見晴らしのよい崖だったり、竹林だったり、林檎畑だったり、四季折々の風情を楽しんでいる。約2km。最近は末町までの往復10kmのランニングコースに組み入れている。

 昨春には意識していなかったのだけど、この遊歩道で林檎畑のあたりに遅咲きの桜がある。用水端で水流に傘をさすような感じで咲いている。お仕舞い方の桜の候を過ごす時間のなかで、ここが今年最後の桜かなあ、と思った。もう随分と葉も開きはじめていて、淡い桜色が緑の中に溶け込んでいく様が何とも美しい。

 桜が咲いている場所の周囲は緑が濃くなっていて、初夏への最初のステップを踏んでいる事に気付かされる。昨年は法島で最後の桜を見た記憶があるのだけど、今年は土清水かと、ほんの小さな栞を記憶の淵に落としたような感触を楽しんだ。ほんとうに記憶力の減退に悩む昨今なのだけど、こんなことは忘れないのだよね。