K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

佐藤允彦:Palladium (1969) 30年後に聴くと

 随分長い間聴いていなかったこのレコードを久々に聴いてみた。

 最近は「モダンジャズの名盤」を聴く日々で、ジャズが最も輝いていた時代(と云って差し支えないと思う)の音の勢いが凄い。さらに当時のプレスで聴くと距離感が縮まる感じがあって、脳天の先まで音が染み渡る。このままだと精神的にイケナイね、って日々。

 だから気分転換の積もり。手に入れたのは大学生の頃。日本のジャズの名盤と云われていたしね。でも印象はあまり残っていない。淡い感じ。

 改めて、それから30年後に聴くと、清澄な音が時として強いビートに乗ってが流れていく様に驚いた。表裏3回も聴いた。佐藤のピアノの冷たい音色の気持ちよさ、事故前の富樫のドラムの鋭さ、やや寡黙なのだけど的を得た荒川のベース、それぞれのバランスがとてもいい。当時の最先端の音じゃなかろうか。ミッシェルでのfree formでやや暴れるが、観念に過ぎず、音の美しさに志向する感じが好ましい。また時折吹き出す強いドライヴ。富樫のドラムは素晴らしい。1970年前後から、このような先鋭的であり、かつオリジナリティのあるジャズが次々出てきたのは何故だろう、といつも思う。

 30年振りに聴いて、こんなに印象が強まるとは思わなかった。盤をつぎつぎ買うだけじゃなくて、もっと聴かなきゃね。

追記:30年弱くらい前に、横浜の本牧ジャズ祭の手伝いを数年やっていた。ボクが佐藤允彦によく似ている、と云われた。一度、楽屋でばったり出くわしたことがあったが、確かに。彼の最近の風貌はどうなのか気になるところではある。

 

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佐藤允彦:Palladium(1969, 東芝)
   A1. Opening 
   A2. Michelle
   A3. Der Zweig Von Salzburg
   B1. Palladium
   B2. Scrollin'
   B3. Closing
佐藤允彦(p), 荒川康男(b), 富樫雅彦(ds, ring)

保有盤は1970年代の再発