K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Gary Peacock, Marilyn Crispell: Azure (2011) そうだ音楽を中心に書く積もりだったよね

 そうだ音楽を中心に書く積もりだったよね。ここのところ、本のことに心を奪われているような気がするのだけど。

 またLPレコードに随分と魂を持って行かれているから、何だか家の中が昔のジャズ喫茶のように、レコードが散乱している状況。そもそも収容キャパシティを超えているから、ダンボール床置き。買う速さに、聴くことが追いついてなくて、追われているような気がするのは本末転倒。やれやれ

 昨日、やっと溜まっていたCDをディスクに落として、データを仕事場に持ってきた。仕事場ではMACBOOKで古いローランドのaudio interfaceを叩いて、オンキョーのアクティブ・スピーカを鳴らしているのだけど、これはこれで十分楽しめる。一日中、低い音でピアノを中心に流している。気楽でいい。

 今日聴いていたのは、ゲイリー・ピーコックとマリリン・クリスペルのデュオ。低い音で流していたのだけど、ボクの仕事場の空気を少し変えて、何か見えない透明体の結晶に囲まれたような、ちょいと爽やかな空間にすることができた。BGMでモダン・ジャズを流すと、なんか安っぽい居酒屋になってしまう悲しい昨今なのだけど、これは適度に抽象的な音なので、そんな心配もない。

 最近になって、ますますゲイリー・ピーコックが気になっている。軽々と弾くベースの存在感の重みに惹かれる。一昨年、マンハッタンのブルーノートでのリーコニッツとのセッションを聴いたとき、コニッツとビル・フリーゼルの発散気味の音を縛っていたのは明らかにピーコック。彼が芯となって進行していく様が面白くも楽しかった。このアルバムでも、そのような役割を担っていて、芯のあるデュオになっている。

 クリスペルのピアノは嫌いじゃないけれど、なんか無理に難しくさせるようなところ、というか理屈っぽい感じがある。そんなトコロが引っかかる奏者。今回のデュオはピーコックとの対話の在り方が、割と自然な感じで、フリーフォームであっても無理がなかったように感じた。等身大の音。なんか、うまくピーコックに引っ張られているような。

 最後の曲Azureはなかなか美しく、これから暫くこのアルバムを聴き続けるような気がする。

 全般に過剰な情感がないので、(いい意味で)仕事場向き。

ECMのサイトで試聴できる。

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Gary Peacock, Marilyn Crispell: Azure (2011,ECM)
    1. Patterns
    2. Goodbye
    3. Leapfrog
    4. Bass Solo
    5. Waltz After David M
    6. Lullaby
    7. The Lea
    8. Blue
    9. Piano Solo
  10. Puppets
  11. Azure
Gary Peacock(b), Marilyn Crispell(p)