K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

古いモノラル・レコードを聴く朝


 古いモノラル盤を随分と買い込んだけど、音に満足する場合、そうでもない場合、がある。モノラル盤の魅力は、「音の密度」のようなものが高く、要はハイ・テンションな迫力。スピーカから一歩も二歩も前に出てくる感じ。それを味わえる盤とそうでもない盤がある。同じレーベル、同じルディ・ヴァン・ゲルダーの録音・カッティングでも。

 比較的新しいモノラル盤、60年代初期のRiverside盤でのビル・エヴァンスの録音にはあまり感じないのだけど、キャノンボールのSomtin' Elseとか、古めのBlue NoteやPrestige期のマイルス盤、50年代の後半の盤には、なんとなく期待外れのようなイヤな感覚があった。

 昨夜読んでいたいた本の記述に、ステレオ盤前夜、1950年代末のレコード針の針圧が10g以上であった、を見た。軽針圧(今は2〜3g)では、溝に刻まれた情報が完全には読み取れない、ようだ。

 試しにモノラル・カートリッジ(DENON、DL102、適正針圧2.5g)を5gにアップして聴いてみると、音圧がグッと上昇。エヴァンスのデビィなんかはヴィレッジ・ヴァンガードの空気が濃くなった。Prestigeのマイルス盤もぐっと迫力を増した。何枚かの「不本意盤」も満足いく音に変わった。恐るべしレコード。読んでいた本曰く「レコードには魔物が棲みついている」。クワバラクワバラ。

 まあ倍の圧力をかけたレコード針の悲鳴を聴いたのかもしれないけど。本格的なモノラル専用針が欲しくなったのは、ご愛敬ということで...