K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Om: With Dom Um Romao (1977) Weather reportの子供たち

 先日、友人達と呑んだときに、久しぶりにWeather reportを聴いた。当時、Jacoの時代に眼がいっていたのだけど、今になって聴いてみると、その前の時代が良い、いやJacoの時代より良い、と思うことが多い。Jaco自身のアルバム、Weather ReportのなかでのJacoの輝き、は勿論なのだけど、グループとしての音として考えた場合、そのヴァリエーションが少なく、いささかワン・パターンのように感じることも否定できない。ヴィトウスの飛翔するような音空間、ジョンソンのグルーヴ感を越えているのか、と思うこともままある。だから自らの破綻をもって、決着をつけた、と彼に関しては思えるのだ。 そしてWeather reportもJacoの時代の縮退感を契機に、なんとなく懐メログループになったように思えてならない。ザヴィヌルだって、ショーターだって、解散後にとても良くなったように思えるからね。

 だから死んだ児の歳を数えるように、あのヴィトウスの時代の音が発展したら、とか思うことがあって、ああ Weather reportの子供たち、って思う音も80年代には幾つかある。ヴィトウスの盤は勿論だし、この独のグループOMもそう。Dom Um Romaoがゲスト参加しているのだから、その狙いは明瞭。そして音は狙い通り。ベースもサックスも初期のWeather reportの音色。ギターがソニー・シャーロック風の音色で「微笑ましい」が、ショーターのSuper novaの延長線上。そしてDom Um Romaoの土着的な音が、JapoというECMの傍系レーベルで濾過され、実に軽妙な温度感を持った音になっている。また、欧州ジャズにありがちな、妙に観念的な音の組み立てになることを回避し、低温のグルーヴ感を付与している。

 表裏を飽きさせることなく、聴かせる、なかなかのアルバム。初期Weather reportが好きな人には、聴き応えのある一枚じゃなかろうか。

 

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Om:  With Dom Um Romao (1977, Japo)
    A1. Chipero
    A2. Back To Front
    B1. Dumini
    B2. De Funk
Urs Leimgruber(ss,ts), Christy Doran(g), Bobby Burri(b), Fredy Studer(ds), Dom Um Romao(perc)