K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(BST84205) Pete La Roca: Basra (1965) 夜半前のSweet Basilで

 ボクが持っているレコードはリバティ盤。これはオリジナルではなくて、ブルーノートがライオンからレコード会社に売り出された後のもの。概して、ブルーノートのオリジナル盤は高価なので、リバティ盤でRudy Van Gelderの刻印がついているもの、で集めている。そうすると、案外、安価なものが多い。勿論、リバティ盤であっても、Rudy Van Gelderの刻印がないもの、も多い。ドルフィーのOut to lunchなんか、そうだった。

 で肝心の音質なのだけど、比較したことがないから分からない、が正直なところ。でも、オリジナル盤でも「耳マーク」の刻印有無で音が違うようだから、差があることは確かなのだろうな。Rudy Van Gelderの刻印があれば、カッティングまでヴァン・ゲルダーが行ったということなので、よし、ということにしている。

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[2013-12-23記事] 夜半前のSweet Basilで

 夜半前のSweet Basilで彼の演奏を聴いたことがある。The second set。Village Vanguardが満席で、まわってきたらPete La Rocaの文字を見て小躍りした。ピアノはキューン。存命で、活動しているとは知らなかった。1998年6月のこと。

 激しい嵐でボルチモアからのフライトが欠航して、アムトラックで向かったマンハッタンに着いたのは随分と遅い時間だった。持ち歩く携帯電話もなく、インターネットアクセスも屋外から出来ない時代、電話だけで繋がる友人との線は細く、よく落ち合えたものだと思う。

 かなり疲れていたのだけど、ラ・ロカとキューンのバンド、管は2本、のフリーよりの激しい演奏を聴いて、大満足だった。ちょうど1年くらい前に、ラ・ロカの訃報を聞いた。1950年代に活躍した奏者が召される時代だ。仕方がない。再び思い出した。

 ボクがラ・ロカを意識したのはロリンズのVillage Vanguardのライヴ録音。Elvinの演奏と比べても遜色ない。少し引っ込んだ感じなのだけど、正確にドライヴしていて気持ちよい。控えめなな彼が少し気になったし、ロリンズのVillage Vanguardの続編2枚組が出たとき、そのなかに沢山の演奏があって、何となく嬉しかった。

 それから聴きたいなって思っていたBasraなのだけど、入手したのは数年前。Sweet Basilで聴いてから。1965年のアルバムなのだけど、1970年代のジャズに一直線につながる鋭い演奏。1950年代の尻尾を切ったようなモーダルな演奏が気持ちよい。ヘンダーソンのテナーも、コルトレーンのような複雑さを求めず、ロリンズのようなたおやかな感じでもなく、彼の演奏としか言いようのない味があって好きだな。確かに、このあたりの演奏の空気が1970年代後半まで残っていて、ボクが何となく嬉しくなるのは、そのためじゃないかと思える。

 おとついの名古屋でヴァン・ゲルダー刻印付きリヴァティ盤を安価で入手し、早速聴いている。CDと比べて骨太の音を楽しんでいる。そう、彼が亡くなるとっくの前にオトは肉体を離れ、12インチの円盤に閉じ込められ、生き続ける。ボクたちは、そんな地上には存在しない生者のオトとともに生きている。

 

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(BST84205) Pete La Roca: Basra(1965, Blue Note)
   A1. Malagueña
   A2. Candu
   A3. Tears Come from Heaven
   B1. Basra
   B2. Lazy Afternoon
   B3. Eiderdown
Pete La Roca(ds), Joe Henderson(ts), Steve Kuhn(p), Steve Swallow(b)
Design: Reid Miles
Liner Notes: Ira Gitler
Photograph: Francis Wolff
Recording: Rudy Van Gelder
Producer: Alfred Lion
Recorded on May 19, 1965.

リバティ盤。RVGの刻印あり。BNのオリジナルは高価なので、とりあえずRVG刻印で揃えている。

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