K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Jack DeJohnette's special edition: Album Album(1984)冷えたロースト・ビーフのような味わい

 先日、バナナ・レコードで買った1枚。一ヶ月前に見かけて見送ったのだけど、まだあった。うーん、人気がないねえ。

 Special Editionの第1作が大名作(だと思っていて)で、アーサー・ブライスとデヴィド・マレイの大咆哮大会をデジョネットの緻密なドラムが乗せ切る構図が素晴らしかった。その「構図」がデジョネットの編曲能力で、何となく煮詰まったフリー系即興の出口のようにも見えた。当時、大大期待の第二作で、その即興と編曲の割合が編曲に傾き、面白みが減ったように感じたように思う。

 さてECMでのSpecial Editionの第4作だけど、やはり音楽としてのフレームワークは大きく変わっていなくて、残念な感じは否めない。だけど、ホーン3本の音の厚みと編曲の妙はなかなかのもので、第1作からの再演であるB3. Zoot suiteは、同じ構図の編曲であるにも関わらず、菅の違いをうまく聴かせている。当時は「変化すること」への強迫的な要求が「聴き手」にもあって、それが「失望」を呼んだのだけど、今はそうであった事が冷静にわかる。だから、ある水準を超えた音楽を割と素直に楽しめるように思う。

 1960年代から1970年代の「Free」という「Freeじゃないscheme」を救い出す試みだったように、今更ながらに思う。そんなことと関係なく、とても楽しめる一枚であることを申し添える。

 それにしても、今のECMでは考えられない直球のジャズ。それでの、面白いのは音の温度が低めの仕上がり、ということ。冷えたロースト・ビーフのような味わい。お試しあれ。

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Jack DeJohnette's special edition: Album Album(1984, ECM)
   A1. Ahmad The Terrible
   A2. Monk's mood
   A3. Festival
   B1. New Orleans strut
   B2. Third World Anthem
   B3. Zoot suite
Jack DeJohnette(ds,key), John Purcell(as,ss), David Murray(ts), Howard Johnson(tuba, bs), Rufus Reid(b)