村井康司さんの「JAZZ100の扉」を熟読している(本当!)。1995年に出版された「200CD 21世紀へのジャズ」(村井他共著)にも随分お世話になった感覚がある。そこで随分と新しいディスクを知った。今回もよく分からない近年のジャズシーンを俯瞰的に知ることができれば、ということ。残念ながら、近年のディスクの紹介は少なくて、なんとなく、そのような期待感はしぼんでいるのだけど。勿論いい本で、参考にはなるのだけど、知らないところに面白いことがあるかも、っていう期待感がね、少々しぼんだ。(ジミー・ジェフリーの話が一番面白かった。実は1995年の本にも書いてあったのだけど、気がつかなかった。)
この本のなかで紹介されたディスクで未聴のものも多かったので、少し買いはじめている。この菊地成孔のアルバムもそう。マイルス、菊地雅章の路線のあとの展開、ということで気になった。それに数少ない2000年以降のものだからね。
そう、スストの後なのか、という感覚。
ボクはマイルスのファンク路線が中断したあと、菊池雅章の「ススト」があの路線の最高峰。リズムの色彩感が素晴らしく、その後の音楽がすごく楽しみだった。時期的にはジャコのWord of mouthも同時期で、なんかドキドキしたものだ。だけど、そこでお仕舞。その後待っているうちに、マイルス、ギル・エヴァンスの死とともに雲散霧消した感覚がある。
で、このアルバムだけど。マイルスのコピーバンドとして、とてもよく出来ていると思う(村井本の云う、タワけたことを抜かしているコアなジャズファンなのだけど、自覚あり)。村井さんの云うように、管楽器のソロもとても良い。飽きせず聴かせる、しかも、ライヴでは踊らせる、という。凄い事、だと思う。本当に凄い。アレって、コピーできるとは思わなかったからね。オルガンなんてマイルス味。ベースはヘンダーソン風だし。まず、その点は嫌みでなく、純粋にrespectできる。
で、面白いかと云うと微妙だなあ。だったら、AghartaやPangeaを聴くもんなあ、という自分が確かにいる。で、聴いてみると、激しくグルーヴしながら前進していく感じに悄然としてしまう。「何か」の違いが、1970年代中盤のアレと21世紀のコレの「有意差」なのか、分からない。
否定も肯定もしていないのだけど、Free Jazzと同様、ライヴで聴かなくては「意味の直感的な理解」はできないのだろうな、って思った。そんな不思議な感覚が残った。
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Date Course Pentagon Royal Garden: Franz Kafka's Amerika(2007, P-Vine)
A-1. Perfect days for jungle cruise
A-2. (It's a small)world music's world
A-3. the crying of lot 49
B-1. Washington D.C.
B-2. 1865 Richmond,VA
B-3. Fox trot
B-4. hoa-ky
Naruyoshi Kikuchi(key), Masayasu Tzuboguchi(key), Jason Shalton(g), Gen Oogimi(perc), Yasuhiro Yosigaki(ds), Takeo Sekijima(tuba), Nobuo Fujii(ds), Masaki Kurihara(b), Koki Takai(g), Shiro Sasaki(tp), Taisei Aoki(tb), Masaki Yoshimi(tabla), Tsugami Kenta(ss)