昨日、cowry coffeeでイベントがあった。珈琲焙煎人の中川ワニ氏の珈琲話とジャズ話。あまりヒトが集まるトコロは苦手なのだけど、あのタンノイで、ジャズを紹介してくれるイヴェントがあるというので、珍しくイソイソと出かけた。前半は珈琲の話。最近はタイやヴェトナムに仕事で出かけるボクなのだけど、話を聞いてラオスに行きたくなった、のには困った。
さて中川ワニ氏はボクより少々若い似たような世代。最近になってLPレコードに傾斜するボクとは逆に、現代ジャズ(Contemporary Jazzってコトバがあるんだね、って初めて知った)のCDに傾斜しているヒト。選盤の内容も、ボクと嗜好が違う、から面白かった。ただ演奏だけでなく、音の鋭さや深み、に視点が向いていることはよくわかった。真空管のアンプで鳴らす古いタンノイの音は、音源がCDであっても、十分、奏者にまとわりつく空気を運んでくるものだ。モダンジャズ+ECMでレコードに入れあげているボクだけど、うん、最近のものだって勿論捨てたもんじゃない、という気付きにはなった。
かけてくれた
:Mar adentro。これが一番性にあった
彼が出版している著書、ジャズブック、も入手。とても装丁やイラストが綺麗な本で、手にとると、ふわっと珈琲の匂いが漂いそうな本。ディスクガイドと思ったら、そうじゃない。買い物には、全く参考にならないという誤算、が楽しくなるような面白い本。
そう音楽って生きるための香辛料みたいなもので、香辛料の効かせ方のガイドブックなのだ、と思う。ふわっとした思惟の欠片が軽く盛りつけてあって、その匂いのようなものが行間から漂ってくる。それとアルバムのジャケットだけが並べられている。あとは手にとった自分の思惟のなかに、ゆっくりと入り込むだけ、という塩梅。
あ、最後にアルバムのリストは付いているので「丸で役に立たない」訳ではないので、念のため。殆ど役に立たない、という素敵な本なのだ。
終わった後、店主に紹介してもらって、暫く話はしたのだけど、話題はアレ。最近出たCDガイドの話。存外に皆さん同じ感覚を共有していると分かって、面白かった。また機会を捉えて、いい音でジャズを聴きましょうと、楽しい挨拶をしてcowryを後にした。