これはK君に教えてもらったアルバム。アルメニアというコーカサスのキリスト教国のピアニスト。ファジル・サイのPOP曲のあしらいを思い出すほど、ピアノの響きが良い。聴いていて、うまいなあ、と思う。その音で、中東の薫り立つような旋律が流れると、暫し聴き惚れることもある。決してあざといエキゾチシスムを狙った感じ、ではなく、かなり素直な音の流れのなか。濃くはなく、淡いような感じ。それが良い。サイの場合は、あざとさを感じる時があるから。
ジャズの魅力は「いい加減」なところで、その音楽の定義が曖昧であること、だと改めて思う。だから、いろいろな奏者がいろいろな味を持って加わるような、音の国際マーケットのようなあり方。個々にはバラバラのヴェクタなんだけど、時として、茫洋と似たような方向に進んでいるような気がする。だから、クラシック・現代音楽のピアノ奏者の味を持ちつつ、フォークロアが薫り、そしてジャズの身体性を持つような面白い音楽が生み出されるプラットフォームとなるのだろうな。
合わせて、好奇心たっぷりで、こんな音を教えてくれる若い友人が居ることも嬉しいと思う、この頃なのだ。
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Tigran Hamasyan: A Fable(2011, Verve)
1.Rain Shadow
2.What The Waves Brought
3.The Spinners
4.Illusion
5.Samsara
6.Longing
7.Carnaval
8.The Legend Of The Moon
9.Someday My Prince Will Come
10.Kakavik (The Little Partridge)
11.A Memory That Became A Dream
12.A Fable
13.Mother, Where Are You?
Tigran Hamasyan(p)