K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Donny Hathaway: Live At The Bitter End 1971 (1971) ニューヨークBleecker Recordsで買ったLP

 今回のニューヨーク滞在中、レコード屋は2軒行った。前回楽しめたGeneration Records と、このレコードを買ったBleecker Records。実はDonny HathawayのLiveのレコード盤はGeneration Recordsで買った。竪町のレコード屋さんには「面白くない」、って云われて首をひねっていたのだけど。今回云って、本当に駄目だった。前回は古いColumbiaの2EYE盤なんか廉価で結構混じっていたけど、それもなし。砂漠状態。もう1軒のも大した事はなく、壁に吊ってあったContemporary盤なんかも高価。早々に見切った。Disk Unionをまわるほうが楽しい。ほんと。

 この2軒目のBleecker Recordsは、Washington sqからGreenwich Villageへ行く途中。ライヴのハシゴでBlue NoteからVillage Vanguardへ向かう途中でタマタマ見つけた。レコード釣りで坊主のNYも寂しいなあと思っていたら、このアルバムが釣り上がって嬉しかった。Record Store Dayという「レコード屋さんに行きましょうイヴェント」のLPレコード。4000枚限定プレス。日本にも相応数は入っているみたいで、近所のアキヒロ君に見せてもらって欲しくなっていたもの。ただし日本では売り切れ。オークションで8000円くらいだったので、見送っていた。$34だったので、多分、正価。

 さて内容だけど、あの「Live」の片面The Bitter Endでのtakeで、LPでははじめて。Cornell Dupleeが弾くThe Ghettoを聴く事ができる、という位置づけ。実は昨年の4枚組のアンソロジーCDの3枚目で既にリリースされている。だから、初音源ではない。ただし、Voices Inside (Everything is Everything)はCDと別takeで、これのみ初リリースとのこと。深いマニアでなければ、昨年のアンソロジーで十分。演奏については、「Live」の熱気を薄めたような印象が半分と、The Bitter Endでのライヴに参加できたような嬉しい感情が半分。2つの会場のbest takesを「ある編集意図」をもって作られたアルバムより、密度が薄まっていることは仕方がないだろう。多くのマイルスの後発ライヴ盤と同じ構図。だけど、このアルバムであっても質が落ちている訳ではない。素晴らしい音源が出たことは、やはり嬉しい。

 あと昨年出たアンソロジーでのCD媒体とLP媒体での音の違いは、結論からいうと僅差(だと思う)。同じマスターだよね、の空気感。正直、CDで十分だと思う。しかし最近入手したオリジナルLPと聴き比べると、なんか膜が1枚はいったような感覚はLP/CDとも同じ。マスターテープの劣化なのか、マスタリングのときのイコライズか。少し気になった。

 以上を見ると、買わなくてもよかったような書き方だけど、買ったからこそ分かったことであって、買えなかったら悶々としていたと思う。買って正解だったし、LPで聴くという欲望は十分満たされているのである。

 

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Donny Hathaway: Live At The Bitter End 1971 (1971, Rhino)
   DISC1
   A1. What's Going On
   A2. Sack Full of Dreams
   A3. Little Ghetto Boy
   A4. You've Got A Friend
   B1. Voices Inside (Everything is Everything)

   DISC2
   A1. He Ain't Heavy, He's My Brother
   A2. Jealous Guy
   A3. I Love You More Than You'll Ever Know
   B1. Hey Girl
   B2. The Ghetto
Donny Hathaway(vo, key), Cornell Duplee(g), Mike Howard(g), Wilie Weeks(b), Fred White(ds), Earl DhRouen(per)