K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

ありがとう・さようなら茗渓堂


 ボクが大船に住んでいる頃、随分、山に登った。20代から30代中頃まで。そのあと関西に転勤し、山から遠のいた。親しんだ八ヶ岳、南北アルプスは彼方のように感じたし、何より仕事が忙しく、恐ろしく予定が組み難かった。

 山に登らなくなった頃、随分と山の本を集めた。仕事から帰った深夜、静かな部屋で山の本を開くことがささやかな代償行為だったような気がする。頁を開くと、山の空気、あくまで観念的な空気なのだけど、が微かに流れ出るような感じを愉しんだ。だから、金沢に移り住んでから、山に出掛けることが日常になってから、あまり山の本を手にすることがないのだけど。

 当時、新しい山の本はお茶の水駅前の茗渓堂で、古い本は駿河台下の悠久堂書店で買っていた。とりわけ茗渓堂では著者のサイン本が多く並び、串田孫一をはじめとするサイン本を入手したのも懐かしい。昔はビル一棟が本屋だったのだけど、ある時期から1階2階はギター屋になって、3階のみとなっていた。だから、金沢に移ってからは、山の本を買うこともなかので訪れることもなかった。

 先日、懐かしくなって久々に尋ねてみた。渓流釣りの本、が気になったのだ。しかし、なんとなく当時の雰囲気がない。ギター屋の店員に尋ねると「閉店した」とのこと。この時勢、本屋の継続は難事であることは知っていたが、残念だった。

 それにしても、驚いたのは閉店が2011年7月。3年前のこと。あまりに長く、気が付かなかったものだ。

 ありがとう・さようなら茗渓堂。

追記:山と渓谷社のブログによると、「休業」。再開意思はあるとのことだが。