K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Han Bennink & 高瀬アキ: Two For Two (2011) モンクそしてドルフィーの継承者

 近年のベニンクの「この手」の録音は堪らなく好きだ。相手方がミケル・ボルストラップやミシャ・メンゲルベルク。今回は高瀬アキ。言うまでもなく、ベニンクとメンゲルベルクは、ドルフィーの「Last Date」のリズム・セクションであり、彼らの存在抜きに「あの奇妙なスイング感」、ドルフィーの咆哮を彼方へ連れて行くようなリズム、はあり得なかった、と思っている。

 このアルバムを聴いて、改めて思ったのはベニンクは楽器こそ違え、ドルフィーの正統的な継承者であり、同時にモンクの継承者であること。「Last Date」そのものが、モンクのエピストロフィからはじまり、あの奇妙な旋律がアルバムの空気を支配している。ドルフィーの曲も、モンクの曲と同じような味わいを出している。最近思うのは、ドルフィー自体がモンクの継承者だよなあ、ってこと。Last Dateを聴いていると。世間の時間の流れに竿をさし、ダリの絵のような(ドルフィーのアルバムジャケットだよね)空間のひずみ、のような可笑しなスイング感を作り出す。

 その意味で、ベニンクやメンゲルベルクのICPも、そのような味があって、いわyるFree Jazzのなかにあって、自身を笑い飛ばすような強靱な諧謔精神、ヒップな立ち位置じゃあなかろうか。細かなスタイルのことじゃなくてね。

 このアルバムもそんな流れのなかの1枚。ただ曲想が発散かつ散漫な印象があるのだけど、後半10曲め(ちょっとまって、という曲)以降は焦点がぴたっと固まり、そうモンクの世界(3曲めはモンクの曲なのだけど)。背中が痒くなるような気持ちよさ(そんな表現あるのか?)。ある種憑依したような空気感に痺れてしまった。

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Han Bennink & Aki Takase: Two For Two (2011, Intakt)
   1. Two For Two     
   2. My Tokyo     
   3. Locomotive
   4. Zankapfel     
   5. Knut      
   6. Baumkuchen     
   7. Monochrome     
   8. Raise Four
   9. Do You Know What It Means To Miss New Orleans?
  10. A Chotto Matte     
  11. Hat And Beard
  12. Ohana Han     
  13. Rolled Up     
  14. Hell Und Dunkel     
  15. Hommage To Thelonious Monk
  16. Two For Two     
Han Bennink (ds), 高瀬アキ (p)