この世を去って半世紀、のドルフィーの追悼ライヴ。ここ数年で最高のライヴの一つであり、その空間は記録できないという当たり前の残酷な事実を夜が明けた後に感じている。
そう、ドルフィーの最後のアルバムでのアナウンスと同じだ。
When you hear music, after it's over, it's gone, in the air. You can never capture it again. (Eric Dolphy @Last Date)
もっきりやの店主・平賀さんともども(休憩時間に話すと)、ドルフィーのラスト・デイト、そして、そのなかのミシャやベニンクが作る「奇妙な音空間」の薫りを在ベルリンのアキさんが運んできている、を感じた夜だった。
ラスト・デイトの魅力は格別で、オランダのICP一派の作り出す「欧州の奇妙な味」がドルフィーの最後の輝きを与えていると思っている。そう思っている人と話ができて、よかった。だから、エリックの曲、高瀬アキ、林栄一の曲を聴きながら、モンク、ミシャ、アキのような音の連鎖、がよぎっていた。ドルフィーゆかりの曲だけでなく、アキさんの横浜、林さんのナーダムなどオリジナルも半分ほど。ドルフィー・ラストデイトの世界を半世紀後に拡大投射したような世界にすっかり痺れてしまった。凄い
高瀬アキ(p)、林栄一(as)、井野信義(b)、田中徳崇(ds)
林さんは、1980年にピットインで山下洋輔3+αで武田和命とともに紹介された時に知ったことを思い出した。確か、数年前に国仲勝男と千葉キャンディで共演して以来かな、聴いたのは。ドルフィー役からはじめ、次第に彼の世界に昇華していく様が素晴らしく、奏者も聴者も頭の中を真っ白にしていたような感じだった。
井野さんも好きな奏者で随分と聴いた。金沢で聴け、本当に嬉しかったし、刻むビートと、その逸脱感が気持ちよかった。
唯一人若手の田中徳崇さんのクールな切れ味は素晴らしかった。場を展開していく力は凄くて、アキさんと二人で(打楽器のようなピアノと、唄うドラムで)局面を作っていった。
最後に、昔のLP(高瀬、井野のデュオ!)を持参し、サインをして頂いた。裏面の二人は若いこと!30年前だもんね。
さて、ライヴ終了後の様子は平賀さんの写真を失敬した(スミマセン)。演奏の余韻がしっかり残っているショット。