K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Paul Bley, Gary Peacock, Barry Altschul: Virtuosi (1967) 新年早々

 新年早々、街を歩いたときに連れて帰ったレコード。ブレイのIAI (Improvising Artists Inc.)って懐かしいなあ、と思った。昔、レコードを集めていた頃、よく見かけたのだけど、結局、1枚も買わなかったレーベル。ジャコ・パストリアスの事実上のデビューアルバムも、このレーベルから出ている。CDで入手したけど、ちっとも面白くなかったけど。wikiによると、ブレイのアルバムを中心に、以下のアルバムが出ている。サン・ラのソロって、聴いてみたいな。

IAIのリスト

 さて肝心の演奏なのだけど、IAIでの録音なので1970年代の収録と思ったのだけど、1967年。ESPとかFontanaで吹き込んでいた時期。

 ボクがよく聴くブレイはSteeple Chaseのペデルセンチェット・ベイカーとのデュオ、彼のピアノの美しさが良き相棒との会話のなかで際立っている。あるいはECMでのソロ、音の冷たさ、が魅力だと思う。

 1960年代のブレイはArista Freedomから再発されたFontanaでの録音、ハーレムと欧州でのライヴ、を2枚ほど聴いた。ピアノ・トリオなのだけど、一曲がLP片面の演奏に散漫な印象がして、あまり好みでなかった。静的なimprovisationのようなものが苦手、なんだと思う。それが35年ほど前。

 だからジャケットをよく見て、1967年の演奏と知って、ややがっかりしたのだけど、 Gary Peacockのcreditは魅力的で、気を取り直して聴いてみた。やはり一曲がLP片面なのだけど、各人の音の主張が強く、静的な印象は変わらないのだけど、特にピーコックのベースを中心に楽しむことができた。ちなみにArista Freedomからの再発盤はKent Carter(その後、加古隆と演奏)やMark Levenson(後にオーディオ・メーカーを創業)なので、その違いは大きい、のかも知れない。

 数年前にマンハッタンで聴いたリー・コニッツ、ビル・フリーゼルの脱力系セッションも、一本筋が通った音を出していたのはピーコックだった、ということを思いだした。

 最後はピーコックに話しの中心が移った。ブレイだけでは、何となく足りない何か、があって、このアルバムのピーコック、Steeple Chaseのデュオの相方、ECMのアイヒャーのような、強い個性との化学反応が必須じゃないのかな、って思う。自分のなかで、「アタリ」と「ハズレ」の落差が気になっていたブレイの謎、が溶けたような気がした。

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Barry Altschul, Paul Bley, Gary Peacock: Virtuosi (I.A.I., 1967)
  A1. Butterflies (Annette Peacock)
  B1. Gary (Annette Peacock)
Paul Bley(p), Gary Peacock(b), Barry Altschul(ds),
I.A.I.,: Improvising Artists Inc.