K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Toninho Ferragutti: O Sorriso Da Manu (2014) 成田のラウンジで聴きながら、

 最近は南米音楽のアタリが良い。SNSや特定のdistributor、ラティーナの雑誌をみながらyoutubesoundcloudで試聴して発注する訳だから手堅いのだけど。改めて21世紀的な消費行動だなあ、と思う。

 サンフランシスコから成田への長いフライトで、時折、聴いていたのはこのアルバム。仕事場でも随分聴いている。トニーニョ・フェハグッチ(と読むのか!)というブラジルのアコーディオン奏者。このアルバムは、ラティーナで「21世紀のブラジル音楽」って特集で紹介されていた盤。

 ブラジルの奏者のアルバムの多くは、楽器を繰る高い技量と、その上に乗る地域性のある旋律、それらの要素が比較的ジャズに近いフォーマットの上で繰り広げられる、そんなところが魅力かな。ギターやピアノが奏でるエキゾティシズムにやられてしまう。このアルバムでは、個々の楽器の技量もさることながら、曲の旋律の美しさ、そしてコンパクトではあるが編曲が曲の美しさを極限まで増幅しているような趣がある。だから、アンサンブルとしての美しい記憶が残る、ような感じ。少々エキセントリックな奏者の味、を楽しむアルバムではない。だからこそ、の余韻が素晴らしい。

 疲れるほど聴きたい音楽と、疲れたときに聴きたい音楽があると思うが、これは明確に後者、の傑作だと思う。

 成田のラウンジで聴きながら、改めてそう思った。

試聴はコチラ

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Toninho Ferragutti: O Sorriso Da Manu (2014, Brazil)
1. Circuleta
2. Trilha feita à mão
3. Nova
4. Trilha feita a lápis
5. Flamenta
6. O Sorriso da Manu
7. Paçoquinha
8. Choro da Madrugada
9. Balanguinha
Toninho Ferragutti (accord), Paulo Braga (p), Alexandre Ribeiro (cl), Beto Angerosa (perc), Zé Alexandre Carvalho (b), Ricardo Takahashi, Liliana Chiriac (vln), Adriana Schincariol (viola), Raiff Dantas Barreto (cello)