K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Radka Toneff, Steve Dobrogosz: Fairytales(1982) 森閑とした闇のなかで

  ふっとしたことで存在を知って、スウェーデンのsellerに注文したレコードが届いた。事前に聴いた、youtubeの音源だけで十分とその音の予感があった。

 この数日忙しく、自室に戻ったのは既に夜半過ぎ、1時をまわっていた。ポストに射し込まれていた箱、切手が貼ってあって、海外のsellerから。このアルバムだった。

  それから暫し、音響装置に縛り付けられた。森閑とした闇のなかで響く声、のような。ピアノの響きも静寂の中。気がついた時は、体が冷え切っていた。

 依然、聴き続けている。ヴォーカルのアルバムをあまり聴かない理由は、感情とかメッセージが強く伝わることに苦手意識があるから。楽器で抽象化したほうが、自分の中でゆっくりと溶け込ませることができる。表面的な反応は苦手。だけど、このアルバムにはそんなものはなく、ただ純度の高い音が、深い深い静かな闇のなかで響いているだけ。だから魅了された。

 この歌い手、このアルバムには、きっと様々なコンテキストが流布していると思うのだけど、そんなことはどうでもよくて(音に物知り的な余計なメッセージはいらない)、ただ、1982年に流れ去った音に針を落とし、追体験するだけなのだ。

Fairytales

Fairytales

 

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Radka Toneff, Steve Dobrogosz: Fairytales(1982, Odin)
A1. The Moon Is A Harsh Mistress
A2. Come Down In Time
A3. Lost In The Stars
A4. Mystery Man
A5. My Funny Valentine
B1. Nature By
B2 . Long Daddy Green
B3. Wasted
B4 . Before Love Went Out Of Style
B5. I Read My Sentence
Radka Toneff(vo), Steve Dobrogosz(p)

Producer – Arild Andersen, Erling Wicklund (tracks: 5)
Artwork [Drawing/design] – Anne Toneff
Engineer – Egil Johan Damm (tracks: 5), Jan Erik Tørmoen (tracks: 5), Tom Sætre

"Recorded at Bergen Digital Studios, Grieghallen Bergen, February 15. - 17. 1982"