K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

山本勇樹監修:Quiet Corner (2014, シンコー) 静かなディスクガイド


 昨日アップしたラドカ・トネフを聴いていて、そういえば、って思いだしたのはこの本。HMVの無料配布誌を書籍化したもの、だそうだ。昨年11月末、ヴェトナムに出掛ける前に東京で一泊、した時に新刊本で購入したもの。それから放置していたので、改めて眺めてみた。

 基本的にはECMの世界、室内楽的な音楽、的な音楽を集めたもの。要は音のvectorが内向性のものを集めたもの。それを音の気分で章分け。 橋本徹さんの「Suburbia Suite」と同じ概念の編集本。ジャズ、南米音楽をはじめ、様々な音がコンパイルされた本。

 元来、この方向の音はこの数年求めていて、アギューレとかメーマリとかが記事として焦点が当てられている、この本に集められたディスクも多分、多くが気分に合うのだろうな、って思う。好著、に違いない。

 本の装丁や雰囲気もとても好み。そのような音を紹介する本なので白黒写真も綺麗。コントラスト、解像度が丁寧に処理されている。本全体でQuiet、な感じ。だけど残念なのは抑制気味の本の造りが、字のフォントも美しく反映されているのだけど、消え入るような小さい字体。残念なのだけど、視力が低下しているなかで読み続けるのは、とても辛い。まさに加齢を感じる瞬間。だから白黒のジャケットを眺めているだけなのだけど、もう少し何とかならないものだろうか。

 本当は奏者のcreditとか、そんな情報も欲しいのだけど、Suburbia Suiteもそうだけど、ディスクガイドの顔をした私小説のような本なんだと思う。だから、それを覗き見しながら、自分も少し静かな気分を頂く、そんな使い方の本。冬の間、眺めているには丁度いい具合ではなかろうか。