K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

旧ソ連メロディア盤の音を大きなタンノイのスピーカで聴いた夜

 珈琲豆が一週間ほど切れていた。いつもの店に豆を取りに行ったついでに(取りに行く口実に、か)、大きなタンノイのスピーカで、札幌で手にした古いロシアのレコード盤の音を聴いてみた。

 焙煎人ともども驚いた。無色透明で歪みのない音。誇張も潤色もなく、透き通ったように楽器から出た音が通る。倍音や余韻が素直に伸びて、音空間の広がりを見せている。メロディアという旧ソ連のレーベル。ヴェデルニコフのバッハやオイストロラフ/リヒテルのフランクのレコードをしばし楽しんだ。この後に聴いたECMの近作では、残響の付加が音の汚れのように聴こえて、困った。
 やはり札幌で入手した古いミケランジェリのレコード、ラヴェルの協奏曲、もキツめの音ながら(独盤のEMI、多分60年代のプレス)もピアノの音が素晴らしく、聴き終えてぐったり。
 ジャズ喫茶じゃないが、ふっと珈琲を飲みたくなった夜だった。

  札幌から帰って、入手した旧ソ連ロディア盤の音に憑かれてしまった。美しい。実は、自宅にもメロディア盤があったことを思い出したのだけど、音は良くなかった、というか濁っていた。ソロコフのデビューアルバム。札幌のレコード屋の店主によると、旧ソ連盤であっても、日本のディーラーを通して輸入したものは音が良くないらしい。そのソロコフのデビューアルバムは、旧ソ連盤なのだけど、日本語の帯付き、だった。

 やっかいな病気に感染したような、気分でいる。