K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Jaco Pastorius & Pat Metheny@ Newport Jazz Festival 1979 聴いていない音、の記憶

 ひとつの録音データがある。随分昔に入手したコンサートのブート、41:34の記録。聴衆が録音した荒っぽいもの。

 1979年6月23日のニューポート・ジャズ・フェスティヴァル。奏者はふたり。ジャコ・パストリアスパット・メセニーウェザー・リポートの絶頂期のジャコと、PMGが広く知られるようになった頃のパット。そんな若い二人。

 勿論、ハタチにもなっていないボクにとってアメリカは果てしなく遠く、そんな場所で聴いた訳ではない。ただ買いはじめたスィングジャーナル誌のフェスティヴァルの記事を眺めていただけだ。その音を聴きたい、という強い気持ちだけが記憶に刻まれた。

 うまくその音源を捕まえたときは小躍りした、勿論。あの当時の気持ちが、甘酸っぱく呼び起こされた。既にアメリカはそんなに遠くなかったけど、ジャコは遠くに行ってしまった後。

 さて聴いてみたが、どうでも良い音源。メセニーほかのメンバーが出てきたのは最後の10分。ある意味、とてつもなくワン・パターンのジャコのソロが、ループ・マシーンやベースのボディを叩くパーカッシヴな音などの効果で垂れ流される。聴衆の熱狂も最初だけ。1979年はまだ「大丈夫」の筈なんだけど、もう「難しい人」になってしまったジャコの姿を捉えている、と思う。最後は歓声じゃなくて、ブーイングじゃないかな。

 結局、聴いていない音、の記憶、と全く異なる音を呆然と聴くのだけど、36年という時間のなかで封をされていた記憶と戯れることができた、ことは少しだけ楽しかった。

 ウェザー・リポートの新しいアルバムがなかなか届かないなあ、と思っているなかで、思い出した。

Jaco Pastorius(b),  Pat Metheny(g), Bob Moses(ds),  Don Alias(perc),  Carlos "Patato" Valdes(perc