K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

松村拓海: Duologue (2014) アコウステックな音空間が素晴らしい

 菊地雅晃のアルバム "on forgotten potency" (2012)は、なかなか気分によく合う、気持ち良く、素晴らしい音だった。グルーヴ感の温度が良く調整されていて、微妙な浮遊感、つまり跳びすぎず落ちすぎず、が絶妙。そんな微温の浮遊感をつくるうえで、フルート奏者である松村拓海の存在感は抜群、だったと思う。

 そんな松村拓海のアルバムをCERBERA RECORDSのサイトで見かけたので、入手。菊地雅晃と同じレコード会社。メジャー・レーベルの元気のなさが気になる昨今だけど、このCERBERA RECORDSはいいな、と思う。song-x, NRTとか、音楽ビジネスも分散化していて、それがまたいい音楽を造っている。

 このアルバムは、とてもアコウステックな音空間が素晴らしい。録音が抜群。菊地雅晃のアルバムに通じる微温の音がゆったり流れる。松村拓海のギターソロ(1と7)をのぞき、あとはデュオ。二人の奏者が造る奥行きのある空間のなかに、聴き手も包まれる。ECMのような室内楽的ジャズなのだけど、残響を効かせていない自然な音であり、また無理に低い温度に仕立てていないので、心地よい。音楽自体も無理なimprovizationに頼らず、よく構成された曲であり、そのなかでの二人のdialogueが、Duologue とcreditされている。

 デュオ好き、ECM好きのジャズ・ファンに聴いてもらいたいなあ、と思う1枚。年末にいい音源を当てたなあ、と思う。

ここで試聴できます。

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松村拓海: Duologue (2014, CERBERA)
1. Prologue (松村拓海)
2. 1AM (松村拓海)
3. L'image (松村拓海)
4. Duologue (松村拓海)
5. つばくらめ(a Swallow) (松村拓海)
6. 予感(a Vague foreboding) (松村拓海)
7. Interlogue (松村拓海)
8. 春(Spring) (松村拓海)
9. Chillin' out on christmas day (松村拓海)
10. ユメノマタユメ(Dream in a dream) (松村拓海)
松村拓海 (fl, alto-fl, bass-fl, g), 飯尾登志 (p on 2,3,10), 坂ノ下典正 (7 strings g on 5,6,9), 藤枝伸介 (fl on 4), 菊地雅晃 (b on 8)
Released: 2015
Recorded at Studio Dede on April 27, 2014
Recorded & Mixed by Tomomi Baba
Mastered by Kenichiro Nishihara(UNPRIVATE)